knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
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あの日の夜。
私は逃れたかった。
そう、彼から。あの城から。

でもあの城は広大な敷地に建ていた。
幼いころはそれでよかった。

クビツェクやゲッベルス、ゲーリング、
チアーノ…そして、彼――ムッソリーニ。
たくさんの友と、慕ってやまない先輩。
そんな彼らに囲まれての生活は満たされていた。
あの城から出るなんてことは、思いもしなかった。
でもある日、出来心で城から抜け出した。
外というものを見てみたかったのかもしれない。

そこから先は、二度と思い出したくなかった。
外というものが、私を拒んだと思い知らされた。

地に伏し、真っ赤に染まっている男。
彼は私の大事な人だったのに。
私が外にでた故に彼を巻き込んでしまった。
結果的に私が彼の命を奪ったのだろう。
ムッソリーニ達は気にするなと言っていたが、あの光景を私は忘れられない。


私はそれ以来、外に出るということを考えなくなった。
出たいとも思わなかった。
むしろ、『外』というものが憎くなった。

もう二度と大切な人を失いたくない。
もう二度と大切な人が傷付くのを見たくない。
(もう二度と自分が傷付きたくない。
でも、他人が傷付くぐらいなら
私がどうなっても、どうでもいい)










 
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