knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
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(ヒトラー視点)




「――お前がファッショから逃げた理由は?」

理由、そうだ。私はただ離反した訳ではなかった。
彼を嫌いになった訳でもない。
ただ、これを言えば次の任務に支障をきたすのではないだろうか。

一応、ファッショは連携任務故に同盟相手になっている。
活動を円滑にするために、「枢軸」としてファッショの中から我ら夜鷲は生まれたのだ。

調度よかったのかもしれない。
彼から離れたかった私が。

密約通りなら合同任務が終われば、私はファッショでななくなりイリュジア王国の騎士になる。
――では、終わらなければ?

もし、任務が失敗すればまた私たちはファッショに所属することになるのか?

――最後に見た、ムッソリーニの表情。
にこやかに笑っていたが、それが私が戻ってくると践んだ上での笑顔だとしたら…

…はじめから、ファッショはこの騎士団と協力するつもりはないだろう。


魔力を研ぎ澄ます。
自分の未来を見るのは苦手だが、
そんな悠長なことを言っていられない。


私の想像が正しければ、この騎士団の「仲間」にも危害が及ぶ。
いや…正しければ、ではない。
私はずっと彼の傍にいたのだ。
彼の考える事ぐらい、解る。


「…ヒトラー?おい、聞いているのか?」

ルカに声を掛けられ、魔力の流れが途切れた。
力が抜け、座り込む前に後ろの机で体を支える。

言うべきか、言わないでおくべきか。
……いや、言わないという選択肢はないに等しい。

言わなければ、「彼ら」が危険だ。


口を開いた、そのときだった。



強力な炎を吐く、巨大な火竜が三体現れたのだ。







 
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