knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
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――流石、他国との共同任務の作戦会議だ。
とスターリンは小さく笑う。

任務内容はルカの様子から危険ではなさそうが、
他国と手を結ぶことはある程度のアクシデントが付き物だ。
任務中に裏切られるということもある。

特に、今回手を結ぶというカルフィナ王朝の
直属騎士団――ファッショはいい噂を聞かない。

殆ど揃っているだろうからドアに寄りかかろとしたら、
タイミング良く、ドアを開けた人物がいた。

バランスを崩しかけるが、となりのフィアに引っ張られ扉の前から退ける。

ふと、室内中の騎士達がざわついているのに気が付いた。
皆の視線の先には、会議室に現れた見知らぬ制服の男。
男はざわつきを無視し、空いていたルカの隣の席についた。

「フィア、あの男…ルカの隣に座ったってことはセラの一人なのか?」
「いや、俺も見たことのない顔だ」

少し長めの黒髪から、見えた瞳は蒼色だった。
フィアの様に氷のような鋭さはないものの、彼同様に綺麗な蒼。
全体的に細いが、その痩身から放たれる魔力は恐らく並みのものではないだろう。

面白そうな奴だと、男をじっと見つめる。


「はいはい、静かに。
自己紹介してくれるか?」

ルカが手を叩き、騒ぎを収める。
静かになったところで男が立ち上がり一礼してから、
低めのテノールが響く。

「私は『夜鷲』部隊、『フューラー』。
名を―――アドルフ・ヒトラー」


夜鷲――聞いたことはないが、ボリシェビキにいた頃資料で見たことがある名前だった。

たしか長年空席だった、第六番目の部隊。
なるほど、再編成したのか。
洗脳魔術を得意とする部隊長が率いているそうで、とすると彼――ヒトラーは洗脳魔術を得意としているのか。

馴れ合いを好まない夜鷲部隊のリーダーの『フューラー』がわざわざこのような場に現れる理由はわからなかったが、
もっとわからなかったのは彼が名乗ったあとずっとこちらを見ていたことだった。

いや、正確には彼の視線は隣のフィアに向けられていた。
何かを探るような、そんな視線だった。








 
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