ぽん小説

□友達の定義
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どこにでもいる普通の顔に無難な服装。
個性といった言葉が欠落しているその容姿に、何がしかの反応を示せという方が難しかった。
多分偶然一緒だったこの講義であいつが何も問題を起こさなかったら、俺があいつに興味すら抱くことはなかったと思う。

「じゃ、授業するか」
毎講義何故か20分も授業に遅れる講師は、相変わらず唐突に授業を開始する。
その適当さに俺は初め出鼻を挫かれたが、人気がないと言われている講義のわりに授業内容は面白い。
多分、授業中に講師が学生をよく当てるので楽をしがる学生には人気がなかったのだろう。
そんなことをつらつら考えていると今日もまた講師は学生を指した。
珍しい。
当たったのは隣にいたあいつだった。
「じゃあさ、君ならこの言葉どう解釈する?」
「えっ?あの…えっと」
あいつは発言することに緊張しているのか、ごにょごにょと自分の解釈を述べはじめた。
大丈夫かなこいつ、と若干失礼なことを思っているうちに、その解釈が自分が思っているものと違うことに気がつく。
嫌な予感がした。
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