でこ小説

□まんじゅうの話
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「駄菓子屋さん!?」
「のどいだい」
巨大なまんじゅう…否、真っ白な布団からぴょこっと、このぼろ屋の主、駄菓子屋が現れた。

「あーん」
「あ゛ーん」
「あー真っ赤だなぁ。間違いなく風邪だ」
まんじゅう化していた駄菓子屋は、学新が発見後、速やかに医師の診察室に運ばれた。
ちなみに医師は全く愛らしくないが、診察室は可愛らしいぬいぐるみと装飾で溢れかえっている。
「ほっとけ。小児科医だから仕方ねぇんだよ」
「むーん…喉やー」
「そんだけ腫れてりゃな。にしてもどうしたよ、その格好は」
「むー」
高熱と喉の痛みで不機嫌な駄菓子屋の頬はぷくぷくと真っ赤になっている。
どうやら喉が痛いので喋りたくないようだ。
そんな駄菓子屋の格好は、真っ白なノースリーブに短パンという夏休みの小学生スタイルだった。

「駄菓子屋、ちゃんと衣替えしたか?」
学新からパーカーを奪い取った駄菓子屋は、医師の言葉にコクコクと頷いた。
駄菓子屋の衣替えはお嬢が先週済ませたばかりだ。
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