でこ小説

□ニ
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「えー」
「まぁしゃーないやん。諦め」
そう言って不服そうな顔をしている犬の頭を、カエルの目のついた着ぐるみの男はわしゃわしゃと撫でた。
背中に大量の荷物を背負っている男は『何かし隊』唯一の隊員だ。
因みに荷物の中身は隊全員分の細々とした荷物である。
「俺、間違いなく荷物持ちやん!どういうことや!」
「お前ら…元気だね」
無駄に見た目のいい隊長はもはや虫の息だ。
「無駄無駄言うなよ…」
「隊長軟弱だね。うちの田舎こんな道ばっかりだぜ?大丈夫かよー」
「なぁ、あとどのくらいかかるん?」
「んー、あとねぇ多分30分くらい?」
暢気な犬の言葉に、ぴたりと隊長の足が止まった。
「隊長?」
「あーもう無理!絶対もう無理!犬ん家遠い!」
隊長は舗装されていない道の真ん中に座り込んでしまった。
「隊長しっかり!もうちょっとだよー」
「いつまでもここにいたって着かないぜ」
「頑張って歩こう?もう少しやって」
「いやだ!いや!ワープ機能使う!ワープ!」
隊長はそう言ってワープ機能の決めポーズをした。

「なんだよ、ワープ機能って」
副隊長は先ほど外した眼鏡をかけ直した。
「え?そのまんまだよ?こう、前回の説明で尺を稼いで時間軸をジャンプ!」
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