でこ小説

□一
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犬耳の方は背が低く声も高いが、カエルの方はがっしりとした男らしい体格をしていた。
どちらも自信満々に目が輝いている。
「あぁ、お前らじゃダメだわ。今回は原稿なしでいきまーす」
隊長はめくっていた原稿を適当な感じにぺいっと床に放った。
『えぇ!?』

「と、まぁ突っ込み所は満載だな」
ねこ耳がかぶっていたフードを脱いだ。
「仕方ないじゃん。隊服って揃えると高いし?とりあえず手軽に着ぐるみだよね」
隊長は垂れたうさぎ耳を犬耳とカエルに引っ張られながらにこにこと笑っている。
「この原稿頑張ったんだぜ!使ってよ!」
「だって原稿読んだけどやっぱり解読できなかったんだもーん」
「眠かったんやからしゃーないやん!」
両端がぎゃいぎゃい騒いでいるのに、隊長は至って冷静だ。
むしろベッドでパソコンを弄っていたねこ耳の方が苛ついている。
「おい、二人とも話が進まねぇよ」
「ねー!隊長!」
「もっかい、もう一回読んでみて!」
ねこ耳の言葉は届かなかったようで二人はまだ騒いでいた。
「………」
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