でこ小説

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しばし、沈黙が流れる。
一番はじめに正気に戻ったのは学新だった。
「ちょ…ホストさん!?大丈夫ですか?お嬢さん一体どんな力で…」
学新がびっくりして小突いた本人のお嬢を見ると、何故か目を丸くして固まっている。
「お、お嬢さん…?」
「ごめっ…ねぇホスト、大丈夫?」
お嬢の顔がたちまちすぅっと青白くなっていく。
「大丈夫だよぉ、あーぁ、お嬢そんな顔して」
お嬢が固まっていると、暢気な笑顔を見せてホストはゆっくり起き上がった。
「ホストさん」
学新が口を開いた。
「もしかしなくても怪我してません?」
「あはは」
「笑って誤魔化されると思ってるんですか?」
そういえば、と学新は二人の装いが所々汚れていて、ホストのスーツの切ったようなあとに気が付く。
「ほっんとに…なにやってたんですか!?すぐに診てもらわないと」
「あはは…あのさ」
「なんです!?」
「病院…ってかイッシーさんには言わないで欲しいな」
「…無理です」
ですよね、と顔から汗を滴らせながらホストは項垂れた。

「てめぇ、ホストこの野郎!覚悟しとけ!」
「きゃー!」
繁華街のどこかでひきつったような叫び声が響く。
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