でこ小説

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いつもは人通りの多さのせいで賑やかな通りが、今日は白と黒の車のせいでさわがしくなっていた。
ちょうど通りがかっていたメガネをかけた普通の顔をした青年は、なぜこんなところにパトカーが停まっているのか不思議に思う。
「だから!人の顔を見て普通って失礼ですから!」
どうやら青年の正体は、学新のようだ。
「あれー?」
「なにやってんの」
「あ、ホストさんとお嬢さんじゃないですか」
学新が騒ぎの端っこで独り騒いでいると、後ろから見慣れた二人組に声をかけられた。
「どうしたんです?二人とも」
学新は二人が揃って今の時間帯に、この場所にいることを不思議に思う。
「あー、ちょっと色々ね。っていうか…あれ名前…?」
「あぁ、今は学新です」
「んーと、学生の新聞屋さんの略?」
「よくわかりましたねホストさん」
「せっかちなお嬢と違って、俺は地の文はちゃんと読むタイプだから」
「なんか言った?」
あはは、と笑うホストをお嬢が小突いた。
和やかな雰囲気に学新もつられて笑う。
しかし、小突かれたホストは、ぐにゃっと顔を歪ませたかと思うと、べしゃっと倒れ込んでしまった。
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