でこ小説

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「いらっせ」
街のネオンが一層きらびやかに輝いた頃。
歓楽街の片隅に店を構える駄菓子屋に、背の高い白衣をきた男が現れた。
「あぁ」
「何ケース?」
奥の居間で団扇をパタパタさせていた駄菓子屋は、男の姿に見ると立ち上がって店舗スペースの一番端にある鍵のついた棚を開けた。
棚の中には銘柄の違う煙草が数種類、何ケースか並んでいる。
「一つありゃ十分だ」
男はそう言って白衣を脱ぐと、ノーネクタイのワイシャツのポケットから煙草とライターを取り出す。
「1ケース?」
「いや、一箱」
はい、と駄菓子屋が差し出した灰皿を受け取ると、男は煙草に火をつけた。

「今、駄菓子屋の目の前で白衣を脱いだワイシャツにスラックス姿の男はイッシーです。ちなみに学新は一旦お家に帰って寝てるからお留守です」
「なんだ?」
「ちょっと補足説明してたん」
「じゃあ俺が小児科医であることも言っといてくれ」
うん、わかった!と言って駄菓子屋は奥の居間の更に奥の部屋に消えていってしまった。
残された小児科医と名乗った自称医師は、駄菓子屋の突然の奇行に表情一つ変えず、煙草の煙をふぅっと吐き出す。
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