でこ小説

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「駄菓子屋で千円ってどんだけ豪勢な使い方だ!10円玉で買えるものを売っているんだから当然です」
むーと頬を膨らませる駄菓子屋だったが、学新の言うことは正しい。
駄菓子屋は仕方なく10円玉を数えはじめた。
その背中にはちゃっかり、小太郎と姫花がくっついている。
「保育士さん大変だな…」
自分も頭に三歳の女の子を乗せた学新は、はぁっとため息をついた。

『お子様とご一緒に』がモットーの駄菓子屋では、現在「夜間・若葉保育所」と協力して保育所が始まる時間と、子ども達の保護者の出勤の間の空いてしまう時間を使って預かり保育をしている。
と、言ってもそれはほんの僅かな時間だ。
しかし、その僅かな時間でも素人学新達に年端もいかない子ども達の面倒はとても難しい。
「きゃあー!」
「わぁー!」
築何十年の店内は駄菓子が並んでいる棚と、小さなテレビ、椅子が何脚でもう一杯一杯だ。
子ども達はそんな狭い空間でも、小さな体をばたつかせて走り回るので、学新は気が気ではない。
「みんな危ないから!走らないで!」
「あぶなくないもん」
「だいじょうぶだもん」
と言っている子ほど、転びやすくぶつかりやすい。
「わぁっ!」
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