でこ小説

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「違います。僕の登場シーンのことです。人の顔をみて普通ってなんですか。普通って」
「学新は学生アルバイトの新聞屋さんの略!」
「…駄菓子屋さん、僕と会話する気あります?」
「ないべ☆」
「ですよねー」
青年、否、学新は、駄菓子屋の返答にガクッと肩を落とした。
「それより学新」
腹へったべ、と駄菓子屋は短い手足をバタバタさせて騒いだ。
「もうちょっとですから待て下さい」
「待てないー」
「はぁ…じゃあ今日はみんなと一緒の時間に食事にして、それまでおにぎりで我慢出来ますか?」
「できまーす!」
ガバッと元気に起き上がった駄菓子屋に学新はため息を隠せなかった。

学新が台所に消えてから、駄菓子屋は居間を抜けて一段低くなっている店舗スペースにビーチサンダルを履いて降りた。
何故かビーチサンダルなのかはわからないが、駄菓子屋はペタペタと表に面したガラス張りの扉に近づき、ガタンガタンと大きな音を立てて扉を開けた。
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