ぽん小説

□青い春を思う
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「夕焼けってさぁ…なんなんだろ」
「ん?」
初秋の風がふく夕方。
あの真っ赤な空を眺めに行こう、といつも通りワケわからんこと言い出したこいつと一緒に、自転車をこいで一時間。
一時間じゃ見たこともない行ったこともない場所につけるわけでもないが、とりあえずそこそこ遠くにたどり着いた。
ちなみに、夕日にぴったりな雰囲気のある河原や海辺にいるわけじゃない。
そもそも俺らがいる県に海はない。
なんか悔しい…青春的に。
「お前にさぁ、夕焼けはどう見える?」
「どうって…太陽?」
「あーお前に言ったオレがバカだった。ごめん忘れてっていうか忘れろ」
「………」
畑と田んぼの向こうに見える夕日は真っ赤に焼けてきれいだ。
ここが海岸だったら水面に反射して、きっときらきら輝くに違いない。
…土と稲穂は反射してくれないけど。
いや稲穂だって十分きれいだけども。
「夕焼けは太陽だろうが。太陽以外の何物でもないだろ?」
「いやいや、そんなのオレだって分かっとるわ!違うよ…オレさぁ、夕焼け見ると切なくて」
「…え?なにそれ?」
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