でこ小説

□変わればいいってもんじゃない
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「いーかげん人参ぐらい食えって!先生食べさせてやんよ、ほらあーん!」
「うぜぇ!ぜってぇ食うかんなもん!」
「もー二人ともまたやってるんですか?」
まだ、辺りが夜闇に沈む時間。
季節のいたずらで、朝日がなかなか起きない時期になった歓楽街だが、この街の就寝時間は一年を通して変わらない。
それは歓楽街の隅にある木造建築のぼろ屋でも。
「イッシーが人参残すからいけねーの!」
「人参食わなくたってどうってことねーよ!」
「いーかげんにしろ!ちったあ黙って喰えや!」
隣同士、ぎゃあぎゃあと喧嘩する二人をお嬢が睨み付けながら一喝した。
駄菓子屋の店内は季節が移ろっても相変わらずだ。

「「だって…」」
「だってじゃねぇよ!なんか文句あんのかオラ言ってみろや!あぁん!?」
二人はお嬢に説教され、大人しくなる。
「お嬢、口調。駄菓子屋さん怖がってるよ」
保育士とお嬢に挟まれたホストはお嬢をなだめた。
ちなみに駄菓子屋の居間にあるちゃぶ台を囲む彼らの席順は、台所に近い席の学新から医師、保育士、ホスト、お嬢、駄菓子屋だ。
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