でこ小説

□したたかに
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まだ、夜も更けきらぬ夕暮れ。
「とりっくおあとりいと!」
「…なんで?」
いつものように駄菓子屋の店内に入った学新は目を丸くした。
駄菓子屋がいつもの夏休みの小学生スタイルから、黒いワンピースとトンガリ帽に変身していたからだ。
「違います。駄菓子屋さんが僕に起こされる前に起きていたからです。あと」
「あー学新くん、こんばんは」
「なんでホストさん?」
学新は、ぼろ屋を飾り付けているホストに疑問を抱いた。

「どーいうことですかこれは」
すっかりホストによって綺麗にハロウィン風に飾り付けされた店内を見て、学新は言った。
「はろうぃんだべ。学新しんねーの?」
「知ってますけど、駄菓子屋はちゃんとわかっているんですか?」
先ほどホストに買ってもらった綿菓子をむしゃむしゃ食べながら、駄菓子屋は胸を張る。
「わかってるべ!『とりっくおあとりいと』っていうと皆からお菓子が貰える日だべ」
「…駄菓子屋さんは駄菓子屋さんですけど、お菓子は貰う方ですか?」
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