思い出す笑顔

□あなたは窓越しに何を思う
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お前は窓から何を見ている?



貴方は窓越しに何を思う


「源田。お前さ、いっつも何見てんの」

「ん〜。なんだろうな」

そういって源田はこちらに笑いかけた。
相変わらず訳のわからねぇ奴だ。

「あ、」
「なんだよ」

「…なんでもない(クスッ」
「はぁ?」

何が言いたいんだよ。と呟きながら、
本当は無駄に広いはずの俺の部屋に視線を移した。
自分で言うのもなんだけど、一人でいるときは結構広いんだよな。
源田が来ると狭くなるけど。
この長身の所為なのだろうか。

「不動。今日さ、何の日だと思う?」

「え?」

今日・・・なんかあったっけ。
まさか源田の誕生日とか?…ないよな。ソレはない。
だって過ぎたばっかりだし。

源田は俺がたんプレにあげたペンダントを首元に揺らしながら
相変わらずどこか抜けた笑顔でニコニコしていた。
でも
分からない。
今日は何の日だ?

「わっかんね。何?何の日?降参。教えろ源田」

「本当に分かんないのか?」

「ああ」

大丈夫か?と呟きながら、源田は恐る恐る俺の顔を眺め告げた

「お前の誕生日だろ?不動」

「え?」

一瞬。
何がなんだか分からなくなった。

俺の?俺の誕生日?

ぁあああ!思い出した。俺今日誕生日だっけ。はははw忘れてたw

「はい。不動。たんプレ。気に入るかわからないけど」

そういっておずおずと、源田は小さな小包を出した。
『お守り』
とかかれた袋だった。

「手作りか?」
「ああ。なかなか上手くできたとは思うんだ。今までで一番。どうだ?」

「ああ、上手い。さんきゅ」

俺は思わずにやけてしまった。
いつも家庭科技術面に関してはおとりのない源田。
ただ、このお守りの裏に刺繍されていた「ふどう」という字が
すこし曲がっていて、なんだか可笑しかったのだ。

「源田?」
急にうつむいていた源田の顔を上げると
頬が朱に染まっていた。

「どうした、んだお前」
息が飲み込めない。
今の源田が愛おしくなったのだ。
こらえられない気持ちを、必死に必死に抑えようとするが、
変な息しか漏れなかった。

「不動」
「ん?」

(やべ、めっちゃ声裏返った・・・)

「好きだ。付き合って欲しい」

「?!」

時間が、止まったみたいだった。

鼓動が、うるさい。

気づけばこの口は。
俺の本心を引き出して
勝手に返事をしていたのだ。


「俺も、好きだ」




小さなリップ音が、

部屋中に響いた。
その日からいく月かたった

俺と源田は、デートしたり偶に・・・キスしたり。
そんな風に、普通に過ごしてた。

「前も聞いたけどさ、お前本当何見てんの」

「ん〜。なんだろうな」

「この使いまわしやめよう。」

「だってさ。特に理由はないんだけど。なーんか窓から見た景色が綺麗なんだよなぁ」

「じゃぁ窓開ければいいだろ」

なんで窓を開けずに景色を見ているのか不思議だ。
源田は花粉症とかそういうのないはずだし

「や、あけちゃ意味ないんだよ」

即否定された。

なんだろうなぁ。となごりおしく呟いて、今日の夕食何が良い?と
話をそらされた俺だった。

「じゃぁ、俺買い物してくるから家先かえってて」
「わかった」

いつものように源田が飯を作ってくれる予定だったので、俺はのんきにぼーっとふらふら歩き出した。


そこで

事件は起きたのだ。

一体

どうして


「不動!!!!!」

「?」


源田が叫んだ。まだ5メートルくらいしか離れてないのに。

でもみつけた

赤いスポーツカーが

俺に突っ込んでこようとしている

ああ

そんなに俺が愛しいかい?







キキーッ








この紅は、一体誰の衣着か。
「っ・・・」

目を開けると、真っ白だった

「ここ・・・どこだ?」

「あ、気がついた?」

目の前には白い衣に身を包んだ
看護士らしき人と医者らしき人物がおれを囲んでいた。
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