思い出す笑顔

□あなたは窓越しに何を思う
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「よかった。こっちは無事だぞ!」

「よかった。よかった。本当によかった」

「あの子は・・・」

なにがだ?

あぁ。俺車に轢かれたんだっけ。あれ?今、たしか

『こっちは無事だぞ!』

こっち?おれ以外にもいるっていうのか?

「そうだ。源田…」

源田は何処へ行ったのだろう。

「すいません。あの、背が俺より少し高くて、茶色のなびき髪で、フェイスペイントしてる奴知りませんか?」

今、会いたい。源田に。会いたい。

「あぁ…あのこのことでしょう?貴方をかばってまきぞいになってしまった子」

看護士が指を差した先にいたのは、まさしく
今、俺が欲していた人間だった。
だが、その姿は
呼吸器や色々な線に繋がれていかにも苦しそうな
無残な姿だった。

「げんだ?!」

スーッ。はーッ
スーッ。はーッ

「こらダメよ暴れちゃ!明日には退院できるんだから。」

退院なんてしなくて良い。俺なんかよりも。コイツを

源田を救ってくれよ。


・・・・☆

夜になった。
冷たい満月は、俺の孤独さを沸きたてた。
苦しい。苦い。
一番苦しいのは源田なのに。
俺は胸が締め付けられる思いで、向かいのベットを見ていた。

相変わらず。綺麗な寝顔だ。

俺は捻挫程度で済んだため、松葉杖さえあれば歩ける。
きっと
このお守りのおかげだろう。

俺の誕生日に、
不器用な源田の思いと一緒に貰った
お守りが。
きっと俺を守ってくれたんだ。

「でもな・・・」

源田。俺もお前にお守りくれてやればよかったか?
そうしたらお前は今目を開けて、俺に笑顔を見せてたか?

もうよくわかんない複雑な気持ちでいっぱいになって。
気がつけば、頬に一筋熱いものが伝わった

「・・。。。ん」

「?!」

「ぁぁ。不、どう。」

「源田?!」

「よか、った。無事だ、ったのか」

はぁはぁいいながら俺の心配をする源田。
こんなときぐらい自分の心配しろよ。
「俺さ、もう、ふどうと、あえなくなったら困るから、今、いうけどさ、いつも何見てるんだ、っていっただろ?、不動の顔見てるんだ。窓から見える、不動の顔。真正面だとさ、恥ずかしくて」

そういってかすかに微笑む源田を、俺は見ていられなくて

「ばかかお前は!会えなくなるからなんていうな!!・・・俺は、俺はいやだからな。絶対いやだからな」

「不動・・・」

「俺はもっと源田といるんだ。ずっと。ずっと。いるんだ、だから、だから」

涙で前がぼやけて
何も見えない
ぐしゃぐしゃだ
わけわかんねぇ

「不動。ごめん。俺は、お前が大好きなんだ」

そういって源田は呼吸器を取り外し、俺に顔を近づけて

病室にリップ音を響かせた

今までで、一番温かい音だった。
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