箱の中の奇跡
□たまにはさぁ
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「今日こそお前を倒す」
「っく、」
運が悪い。
仙道とコンビニに寄っていた。
アタシは買い物が済んだので、さっさと外に出てみれば、そこには以前ぼこったはずの不良っぽい男子生徒等3人が、あたしの前に立ちはだかった。
生憎すぐ帰る予定だったため、LBXは持ち合わせていなかった。
「へぇ、その様子じゃLBXはもってないようだなぁ」
「そうなりゃこっちの勝ちだな」
「あーぁ。残念。今日でお前の番長格も終わりだぜぇ」
「はっ。やれるもんならやってみろ!」
しかしその言葉には結構無理があったと思う。
たとえ黒帯なアタシでも、さすがに男三人の力に叶うはずがない。
ましてや鉄棒などで後攻をされたらおしまいだ。
「大口叩けるのも今のうちだ!!」
そういうと三人は思いっきりアタシに殴りかかってきた。
よかった。武器は鉄拳のようだ。
それならまだ、立ち会えるかもしれない。
次々に突っ込んでくる拳を、かわしていくのは、結構辛かった。どちらかというと、攻撃で守るタイプなので、防御戦は苦手だった。
体は動きたくてうずうずしていた。
しかし、こんなところで攻撃を仕掛けたところでどうにもならないことぐらい承知している。
仙道がくるまで待つしかないか。
ここは裏地の方だから、気づかれないかもしれない。
けれど仙道には迷惑をかけたくなかったし、気づかれなくてもいいだろうか。
このまま交わし続けられれば、おそらく向こうの体力が尽きるだろう。
そんな時
いっしゅんの隙を見つけたあたしの体が、脳より先に行動してしまった。
「...ぐ!」
しかもその挙は敵の腹部にクリーンヒット。
そのことに怒ったのか、もう一人の男が、蹴りであたしに立ち向かう。
当然よけてやれば、後ろからあざ笑うような声が聞こえた。
「馬鹿が。」
後ろにいた鉄棒を持った男が、その鉄棒をアタシに振りかざした...!
バッ
服のスれる音がしたあと、目の前に映ったのは紫色のフード。
「こんなとこで何してんだよ」
「あぁ?一中の番長が俺たちになんのようだ」
「用があんのはこいつの方だ。雑魚共が。自意識過剰なんだよ」
「っ!...なめやがって!」
カンッ
振りかざされた鉄棒は、仙道の鮮やかな蹴りによって地面に落ちた。
「いくぞ」
「あ。ああ」
仙道はあたしの手首をつかむとダッシュで大通りへ向かった。