銀魂
□ビールとプリン
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「銀時、酒ないか。酒」
「......多串くん、君さぁ帰って開口一番がそれ?」
多串くんーーもとい土方は玄関で靴を脱ぎ、銀時の猫の額ほどの金で買ったボロいコタツへ入る。
そして、一息ついた。
「いいじゃねぇか、疲れてんだよ。どこかのニートと違って夜遅くまで巡回して町を守ってんだからな」
ぶつくさ言いながら煙草を吸う土方をみて銀時は鼻で笑う。
「町を守ってる?笑わせるねぇ。いつも問題起こしてんのはどこのチンピラ税金泥棒警察でしょうかねー」
「あれは総悟が......「で、夜遅くまで俺を待たせた言い訳は巡回?それとも沖田くん?」
「............すまん」
少し冷たくなった銀時の態度に素直に謝った。
「珍しく謝るのが早いね」
ーーーそうでもしねぇとお前はすぐ拗ねるだろうが......
言葉が喉から出かかったが、それじゃ即座に謝った意味がないので何とか抑えた。
別に拗ねた銀時が嫌いなわけではない。
むしろ、俺が原因だと思うと、とても可愛らしく感じる。
だがその分、機嫌を直すのがとても面倒くさい。
一番悪いときでは一ヶ月も万事屋に入れさせてもらえなかった事がある。
ただでさえ会う機会が少ないのに、これ以上減らされるなんて冗談じゃない。
「で、何?何時間も待たせた上で酒?ずいぶんふざけた事を言うようになったよねぇ、多串くんも」
「いやそれは本当に疲れ..................すまなかった」
さらに冷たくなった態度にまた土方は謝る。
その情けない姿をみて銀時はため息をついた。
「まぁいいや、とりあえずコンビニ行って何か買ってきてよ」
「おいおい、マジでか......この季節だぞ......?」
「その寒い季節に何時間もこのボロっちいコタツにいさせたんだから当たり前でしょうが。さぁほら分かったらさっさと行く!」
「......はいよ............」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
からだが芯まで冷えないようにパッパと行って済ませてこよう。
そう思って雪が降る中、銀時の原チャリに跨がり走り出す。
今回で何度目だろうか、この習慣は。
約束していた時間に遅れたら俺はコンビニへ行く。
その間に銀時はメシを作る。
どちらとも結局は同じだと分かってるはずなのに、いつものようにつまらない喧嘩をしながら行動する。
まぁ、俺たちはこれでいいんだと俺は思う。