キセキの物語 ブック
□4夜
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歩いてどれくらい経ったのか分からないが、ようやく校舎の姿が見えてきた。
新しい学校ではなく、けっこう古びた学校。
俺は茜の顔を見ると彼女は、あれが学校か…と呟くように言う。
俺たちはだんだんと吸い寄せられるかのように早足で学校に向かって行く。
学校までの距離はそう遠くなく、すぐに着いた。
正門から入るのは誰かに見付かると危ないと思い、裏から入ることにした。
裏口は手入れが全くしておらず、草が伸び放題だった。
俺たちは草を掻き分け、校内へ入っていくが茜は裸足のためかしかめっ面をしていた。
恐らく草で肌を擽られているのだろうと、俺は思う。
扉まで行くと扉は腐食し始めており、鍵というものはかけられておらず容易に学校内にはいることが出来た。
俺が入ろうとしたら、茜は俺の肩をそっと掴む。
「私が先に行く」
そう言い、俺は無言で頷いた。
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