恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
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SIDE 浅木勇気

本気でありえねぇ。
こんな暑い中、しかもこんな道端で…誘ってくるなんてな!!

クソ暑いし、このまま拓実を帰すのもなんか気が乗らなかった。
だから家に呼んだんだが…
別に下心があったわけじゃねえ。ま、全くないかって言われたらそれも嘘だろうが。

コンビニによって、よりにもよって棒のミルクアイスなんか買いやがって…
もうそういうことだろうよ。
わかってる。拓実は恥ずかしがり屋だからな。
言葉じゃ言えなかったんだろう。
それでも家までは我慢してやろうと思ったのに、咥えるだけじゃなく垂れたのを舐めやがるから…、我慢しようとか思ってた自分がバカだったみてぇだ。
これはきっと試されてるんだよな。早く手を出すようにと!!

しゃがみこんだ俺を覗き込むようにして見てきた拓実の手を取って家まで全速力で走る。
後ろで拓実がなんか言っていたようだが聞こえねぇ。
わかってる。お前も俺と同じ気持ちだよな!!


家について足を止めれば、一気にあふれ出る汗。
肩口で拭って拓実を見れば…



「…拓実?」

「はぁっ!はっ…はぁ…」

「お、おい、大丈夫か?」



異常なほど汗を流して座り込んでいた。
少し無茶させたか?



「こ、のっ…はぁ!ふざけ…はっ…はぁ…あっつ…」



途切れすぎてて何を言いたいのかわかんねぇけど、さすがにこのままじゃまずい気がする。
座り込んで動こうとしない拓実を担ぎあげて家ん中に入る。
よほど疲れてんのか全く抵抗しない。
俺の部屋に連れて行ってまず冷房をつける。あー後、何すりゃいい。
買ってきたモンの中からペットボトルと取り出して拓実に渡せば、開かないとか言いやがる。
…可愛いじゃねぇか。



「ほら、飲めるか?」

「あー…サンキュ…」



勢いよく飲み干してやっと息をついたみたいだ。
というかこれって絶好のチャンスなんじゃないのか?
拓実は俺の部屋、しかもベッドの上。つまりまぁそういうことだよな。
据え膳食わぬはなんたらとか言うんだろ?んなに女々しくねぇからな俺は。



「拓実…」



汗で張り付いたシャツのボタンを引っ張るようにして外していく。同時に拓実をもう片方の腕で囲っていけば、目を見開いて俺を見る。



「はっ?ちょ、勇気っ?!」



分かってるっつーの焦らすなよ。
拓実の持っているペットボトルを取り上げて自分も飲む。思ったより喉が渇いてたらしく一気に飲む。



「…!」



なんか熱い視線が送られてきてる。んっとに小悪魔だよなぁ。そんなに俺を煽ってどうすんだか。
最後の一口だけは口に含んだまま、拓実に口づけた。



「ふむっ…?!?!」



閉じた唇を無理やり開いて舌を滑り込ませる。ゴクリと喉が動いたのをみて離れた。



「なっ、えっ…はっ?!」



顔を真っ赤にして目を白黒させている拓実は文句なしに可愛い。
てきとうに服を脱ぎ捨てて、完全に押し倒せば涙目になってわけのわからないことを叫ぶ。
それさえも閉じ込めるようにもう一度口づけた。
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