恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
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「ぶほっ!?くっ、ごほっ…」

「うっわ、何、大丈夫?」



アイスを食べながら歩いていたら、隣でジュースを飲んでいた勇気がいきなりむせ出した。
背中をさすってやればなぜか睨まれた。ちょ、えっ、触っちゃダメでしたか?!
怖いんですけど?!!



「おまっ…ホント…」

「何…?」

「…はぁ…。たれてんぞ」

「げっ」



勇気を気にしてたら自分のアイスが手の方まで垂れてきていた。
くっそ。睨まれるわアイスは溶けるわ…。
全部暑さのせいだろ、うん。
あいにくティッシュやハンカチなんてもんは持ってない。
もったいないし舐めとっちゃえばいいか…。
勇気ん家に着いたら手洗わせてもらわないとだな。



「ぶはっ…!!」

「え」

「ばっ、おまっ、はぁぁああああ?!」



隣にあった威圧がいきなり消えたと思ったら勇気がしゃがみこんで叫びだした。
え、なに本当にどうした。具合悪いのか?



「わ、勇気顔真っ赤じゃんか」

「誰のせいだと…」

「熱中症か?どっか日陰で休んだ方が…」

「いや」



アイスを持ってない方の腕を勢いよく掴まれる。
何?!ホント何怖いよこの人!!なんか目も据わってるし!!
勇気の迫力に思わず涙目になる俺。てかアイス垂れてる!後ちょっとなんですけど食べさせて下さい!!



「ゆ、勇気…?」

「とっとと帰んぞ」

「はっ?ちょ、まぁあああ!!!」



掴まれた腕を思いっきり引っ張られながら走られる。
待ってくれ!お前リレ選に選ばれてただろうが!!記録塗り替えたりしてただろうが!!
俺はそんなに足速い方じゃないから!!
ちょっ、ほんと、アイス落としたから!!!!
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