恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
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「あっちー!」



日差しが容赦なく俺たちに降り注ぐ。
暑い。これでは焼けてしまう。いや別に焼けてもいいけど。
溶ける。きっと俺は溶けてしまう。

眩しさに目を細めながら隣を見やって後悔した。
汗の滴る首筋は確かに暑苦しいんだろうけど、それ以上に発している色気。
思わず唾を呑みこんでしまって、急いで顔を逸らした。



「んとにあちぃ…。うち寄ってくか?」

「え?!あ、う、うん」



上ずった声でなんとか答える。
やべぇ、なんか顔熱い。これはまずい。熱中症になる。



「途中で飲み物買ってってもいい?」

「あーそーだな。なんか食いもんも買ってこうぜ」



勇気の家は学校からそう遠くない。
今この汗だくの状態で電車に乗るのもどうかと思うし、もう少し日が沈んでからでいいよな。うん。
近くのコンビニはもうオアシスだった。



「めっちゃ涼しい…」

「生き返んな…」



思いっきり息を吐けば、隣で勇気も同じようにしていた。
思わず笑って見上げる。



「このぐらいの暑さぐらい耐えろよ若者」

「たいして歳かわんねぇだろうが」

「うお、ちょ、今汗ヤバいって」



頭を押さえつけられたから急いで逃げ出す。
あー、やっぱこの時期だったらアイスだよな!!



「アイスかよ。溶けるぞ」

「溶ける前に食べればいいんだって」

「しかも棒アイスとか…狙ってんのかお前」

「は?」



何をだ…。
疑問は残るが気にしてる暇はない。早く買って食べなければ!!
適当にジュースと食べ物を買って、店員の気の抜けた声に見送られれば再び地獄。
よく歩いてたよなぁ…。
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