白いキャンバスに描く
□保護者な男
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それからてきとうに席を取って、三人で食事をした。
今日のメニューは牛丼で、いつもより量が多めだ。
普段も残して林太郎にあげてる僕が食べきれるわけがなくて、いつも通り林太郎にあげようとしたら…
「俺が食う」
って、良平くんが食べてしまった。
その様子がなんだかおかしくて、さっきまで恐がっていた事も忘れ笑ってしまう。
周りがなんだか息をのんでいたみたいだけど、良平くんはそんな僕の頭を撫でるだけだった。
「…先帰る。また明日な」
「うん、ぉ、お休み!」
僕の言葉にフッと笑って、良平くんは食堂を後にした。
パタンとドアが閉まった瞬間、二酸化炭素が増えた気がしたのは、皆がいっせいにため息を吐いたせいだと思う。
「いやー、滝川って笑うんだな」
「…え?」
「笑わないって有名だぜ?…さって、俺らも戻るか!」
勢いよく立ち上がった林太郎に慌てて僕も立ち上がる。
その瞬間、
「林太郎ー!何お前滝川と友達なワケ?!」
「やっべ、オレ食堂でアイツ初めて見たわ」
「林太郎、お前ってば命知らずな…」
「すっごいねー、林原くん今度滝川様紹介してよ!」
林太郎は食堂にいた人達に囲まれてしまった。
いつもの事だから気にしないけど、今日は話の内容が良平くんで、なんだか嫌な気持ちになった。