白いキャンバスに描く

□保護者な男
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「あっれ、満ー?…と、何してんだ…?」
「林太郎!」



声がした方を向けば、そこにはジャージ姿の林太郎がいた。

良平くんの力が緩んだ隙に抜け出し、恥ずかしさから林太郎に駆け寄る。


「林太郎、これからご飯行くよ?」
「おー、待って、荷物置いてくんわ」
「うん」



ちらっと良平くんを見てから、部屋に入っていった林太郎。

か、勝手に林太郎も誘っちゃったけど…大丈夫…かな?



「良平くん…あの、林太郎、も、一緒でいい?」
「…ああ」



さっきより少し低い声。
ちょっと怖い…
そのあと喋ってくれない良平くんと、何を話せばいいか分からない僕の間には微妙な空気が漂っていた。


林太郎、早くきて…



「お待たせ!行こうぜ」
「うん!」



林太郎がきたことに少しホッとする。
そのまま僕が真ん中で3人で歩き出した。



「で、そっちはどちらさん?」
「…あ、えと…」
「…テメェに教える必要ねぇだろ」
「んなこと言わずに、さ。俺は林原林太郎。満の同室者で2A、サッカー部!よろしくな」



頭上で繰り広げられる会話にドキドキする。
林太郎は誰とでもすぐに仲良くなれるから、そんなに心配はしてないけど、良平くんはどうだろ?
やっぱり、今までより少し低い声で、ちょっと怖い。



「…滝川良平」
「って…まさかダブルの総長?!」
「…………」



いきなり大声を出した林太郎に、無言な良平くん。
て、え…?
ダブルの、総長……?

ダブルって言うと、最近ここらへんで1番有名な不良チームだ…
その、総長…?


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