恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
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そんな言い合いをした結果、結局自分の分は自分でって事になった。
仕方ないだろ、凄まれたら何も言えねぇ!
けど年下に奢らせる訳にもいかねぇし。(さらには浅木様だし)



「すみませーん、タイヤキ2つ」

「はいよ。小豆とカスタード、どっちにします?」

「えっと、俺はカスタード…。勇気くんは…?」

「小豆」

「はい、2つで210円ね」



一つ105円。
まぁ妥当な値段だろ?
払って受け取る。
熱々だー…
喜々として受け取ってさぁ食べようと思った時、ただならぬ視線を感じた。



「……?」

「(じーー…)」

「……………」



視線の先は、浅木勇気…



ではなく、小さな男の子。
何だ、何故こちらを見る?!



「ぼく、どうした?」



怖がらせないようにとしゃがんで目線をあわせる。
んー、可愛いな。



「あのね!にいちゃがたべてる、の、おいしそーね!」

「おー、タイヤキだよ」

「たい、やき?」

「そ」



つーか可愛ー!
俺、結構小さい子とか好きなんだよね。
にいちゃ、とか、うへへ、持って帰っていいですかね!?
そういや親はどこだ?



「ぼく、お父さんかお母さんは?」

「ママが、いるよ!」

「そっかー、どこ行ったの?」

「ふぇ?」



ふ……ふぇ?だとぅ!
ちょ、かわッッッ!!
と、俺が悶えていたら、目の前の男の子の顔が歪み始めた。
マズイ、これは…



「マ、ママぁ……!」



な、泣き始めてしまった!!
ど、どうしよう…
とりあえず男の子の頭を撫でてやる。
あ、そーだ。



「ぼく、タイヤキ食べる?」

「みゅ…た、いやき?」

「そうそう。ほら、甘いの入ってるよ」



先程男の子が興味を示したタイヤキを掲げてみる。
よかった、泣き止みそうだ。
冷たくなっているかと思ったけど、まだ温かい。熱すぎるのもダメだろうから、調度いいんじゃないか?
はい、と言って男の子にタイヤキを渡す。
俺が持ってると普通の大きさだけど(むしろ小さい)小さい子が持ってると、なんだか大きく見える。
その様子がなんだか微笑ましくて、笑ってしまった。




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