恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
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昇降口に行くまでにいろんな人から見られた。
頼むから見ないでくれ!
原因は言うまでもなく隣にいる人のせいだけどな。



「つか、センパイは家何処だよ?」

「へっ?ぅ、あ、えーっと…駅から3つ目んとこ…」

「マジ?じゃ、送ってく」

「え、え?勇気、くんは何処?家…」



呼び捨てなんて無理ですが何か?!
それより、霜岸中って学校の隣町にあるから浅木勇気もその辺りだと思ってたけどな…



「隣町」

「は?」

「あ?」

「すすすすすみませ…!」



うわぁ、は?とか言っちゃったよ、アノ!浅木様に!
怖いから!濁点つけて聞き返すな!!



「だ、だって、遠くなる」

「いい、バイクで送るし」

「え…免許……」

「…持ってねぇけど?」



…ダメだろう!!!!
ビビったー!何平然と言っちゃってんだコイツ?!
免許持ってないうえに送るって事は二人乗りだろ?!
二人乗りって免許取ってからも一年たたないとダメなんじゃなかったか?!よく知らないけどな!



「い、いい。大丈夫だから!」

「…わーったよ。…駅まで送る」



駅までもいらないけど!



「そんかわり、免許取ったら一番に後ろ乗せてやっから!」



わ…、さっきとは違う子供っぽい、年相応な笑顔。
んっとに羨ましいわ、浅木勇気。

ボケッと見つめていたら視界が暗くなる。は?



「あんま見んな」

「す、すみませっ!!」

「おう。…拓実、さっきから謝りすぎだっつの」



どうやら浅木勇気の手で視界を塞がれたよう。
謝るのは反射だから!
マジであんた怖いんだよ!
なんか…一生分の謝罪を使い切る気がする…
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