恐怖、ときどき恋
□どきどきっ!
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俺が何をしたって言うんだコラ…
自慢じゃないがこんな奴と関わるような生活はしていないはずだ。
自慢じゃないがな!
「………え?」
「だから!付き合えっつってんだよ。放課後、逃げんなよ!」
「ちょ、まっ!……お、おい!」
……なんなんだあいつは!
遅刻寸前で登校したと思えばいきなり拉致られ屋上につれられ殴られると思えば何か付き合えとか言われる……
何処にだよ?!
なんてツッこめねーよ怖ぇーよ。
とりあえず落ち着け自分。
落ち着いて今の状況を説明しろ。
…まず…だな…
あいつはなんやかんやで有名な…確か、アカギユウキ…とか言ってたな、誰かが…
で、……で?
俺…あいつの事噂でしか知らないぐらいの仲なんですけど。
あいつは俗に言う不良であり、自他共に認める平凡である俺とはなんの関わりもない。
関わりたくもないけどな!
「拓実」
「ぅひゃい!」
「……昼休みですよ」
「…せめてツッコミいれてくれ光」
いかんいかん。どうにか教室に戻ってきたはいいが、ずっと考え込んでたな…
真面目に授業受けねーとホント成績やばいから!
今俺に話しかけたのは黒沢光。
光は綺麗な男だ。
まぁ俺よりでかい(つっても4cmだし俺もそれなりに身長あるけど)し男に綺麗と言うのも何だと思うが、とにかく綺麗な顔をしている。華奢だしな。
さらには顔だけじゃなく性格も良いのだ!
穏やかな雰囲気はマイナスイオンを発してるのではないかと思うぐらいに癒される。
たまに見せる哀愁漂う微笑は女子だけではなく男子をも魅了する。
ホントに綺麗だ。うん。
……って、俺なんか変態っぽい…
言っておくが俺にそんな気はないからな!
「そういえば、さっき拓実が話してたのって、浅木くんの事ですよね」
「そう!光、あいつの事知ってんの?」
「有名ですよ。女の子達も騒いでいますし。高井も」
「…高井も?」
「呼んだー?!」
「ぬはっ…」
ドスッと俺の上に乗っかってきたのは、高井大樹(タカイタイキ)。
重いぞコラ…
「たっくんってば、変な声ー」
「たっくん言うな。そのヘアピン逆曲げするぞ」
「ごめんごめん。で、何さ?」
たくっ、調子の良い奴。
ま、ホントに良い奴なんだけどな。
外見ダラッとしてるけど、顔は良い。普通に。
そして成績も良い。殴ってやろうか。
……アレ、俺美男子に挟まれてて惨めじゃね?
「ぅおーい?」
「高井、浅木勇気って知ってますよね?」
「ん?あぁ、浅木様だろ?知ってる知ってる」
「は?!浅木様?!」
うなだれてた俺は大樹の言葉におもいっきり顔を上げる。
上に大樹がいることを忘れて。
「ぐへっ…」
「あ、悪ぃ。で、何で浅木様?」
「うう…。何で知らないのー?浅木勇気っつったらあの霜岸中のトップだったって言う噂じゃん」
「霜岸中?!」
霜岸中と言えば、小学校の頃からの悪ガキがこぞって入る悪名高いところじゃないか!
何そこのトップって…怖っ!!
…ホントよくさっき殴られなかったな、俺…