ぉりじ

□お前と俺の罪
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誰が俺らの罪を咎める事ができるだろうか

君を愛した俺に下る罰は何だろう

俺を手放さないお前の罪は何だろう



願わくばどうか



俺の罰の方が重いように

この想いの重さを表すように







「啓吾」

「んあ……何…?」

「俺さ、お前の事好きだよ」

「…いきなりどうした?」

「だから、俺はお前と一緒にいたい」

「オレも…「いらないんだ」」



啓吾の言葉を遮り言う。
眠そうにベットに身体を沈める啓吾の頭には、ほとんど入ってないだろうが。

なんてったってコイツは、たった今帰ってきたばかり。
浮気相手の所から。



「は?…何、いらないって…」

「お前の心はいらない。俺が勝手に思うだけだから。だから、もうここには帰ってくるな」



啓吾は驚いたように跳び起きる。
眠気も覚めたようで、切れ長の目を見開いてこちらを凝視してくる。



「…本気か…?」

「ああ」



薄く笑ってやる。
今までは堪えたけど、お前がいると想いが強くなる事が分かった。
だから、放れよう。



「明日、ここを出て「嫌だよ」」



嫌だって、餓鬼じゃあるまいし。



「ダメだ、出てけ」

「嫌だ。もう、お前、うるさい」

「だったら今すぐっ……ふっ……」

「……ん……もう、黙りなよ」



細められた目に宿るのは独占欲か。
それじゃただの、お気に入りの玩具を取られる餓鬼のようだ。


でもそれから俺は、逃げられないのだ。



流されに流され、俺はまた、啓吾に強く溺れてく。






お前を愛する事が、きっと、俺に下りた最大の罰




お前と俺の罪
(できるのなら、いつかお前にも罰を与えよう)

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