恐怖、ときどき恋

□どきどきっ!
1ページ/10ページ




その日の夜、眠る事が出来ない――……
なんて事はなく全てを忘れたようにグッスリ眠った俺は、本当に昨日の出来事を気にする事はなかった。
そう、今の今までは。


「な、な、な、なんじゃこりゃぁぁあああ!!!!!」



携帯を確認してドビックリ…

新着メール 36件
着信 21件

そして相手は全て…

『浅木勇気』……!

嫌がらせか!
新たな嫌がらせなのか!!!!
昨日のキスだけじゃ嫌がらせにならないってか!!

…キス…?


って…ぁぁぁああぁあああぁああああ!!!!!!!!
え、俺、そういや…うわぁ…ちょ、ま、ええぇえええ????

落ち着け、落ち着くんだ俺!!
大丈夫だ、いろいろ大丈夫だからとにかく落ち着いて俺!



「…顔合わせらんねぇ…」



また嫌がらせされたら嫌だしな。つーか無駄にハズイ。
経験少ないんだよ悪かったな!!



モヤモヤしつつも学校には行く。母親怖いって。
電車の中でズーンてなる。
気が重いぃぃいいい!!!

3駅なんてあっという間だ。

必要最低限以外入ってない鞄がやけに重たい。
改札を出て階段を降りる…と……

めちゃくちゃ輝く黄金色…



浅木様ぁぁぁあああああ!!!



ちょ、あんたこっち実は通らないはずだろ?!
何々なんでこっちいるんだよ?!?!

もうパニックとしか言えないほど頭がぐちゃぐちゃしてる。
どーにかしてー…!!

いや、でもほら、俺を待ってたって訳じゃないだろうし…!
そうだ!こっそりすり抜ければ問題ないよな……



「拓実ー」

「ひぃ!!…お、おはようございまぁすっ!」



思わず敬語だ。
てか俺か!俺かよぉ!!
周りの人達がガン見orチラ見じゃないか!!



「おう。てか、なんでお前メール返さねーの?電話も出ねーし」

「ねねねね、寝てた!寝てたんだ!ご、ごめんな!」



いっ、今、スゲーカッコいい笑顔だったのに一瞬で人一人殺せそうな極悪顔にぃぃいい!
ダメだ、気を持て、しっかりしろ!
相手は年下相手は年下相手は…………!!!



「寝てた?…んだよ、悪かったな。寝てたんじゃしゃーねーか」



浅木様の声が柔らかくなった。
あああ心臓が痛ぇ…




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ