その手が掴むもの…
□第3話
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所変わってここはハンター試験の会場があるはずの都市、ザバン市
現在は人に化けたキリコさんに案内をしてもらってる。
「ツバシ町の2ー5ー10は…と、向こうの建物だな」
「でっかい…」
目の前にそびえ立つでっかい建物、流石はハンター試験会場だな、と関心していたが…
「おい、そっちじゃないよ、こっち」
キリコさんが指をさしたのは隣のこじんまりとした定食屋だった
中に入っても特に変わった所はなくごくごく普通の定食屋のようだが…
「いらっしぇーい!ご注文は?」
「ステーキ定食」
キリコさんが注文をすれば店員の目が変わった
「焼き方は?」
「弱火でじっくり」
「あいよー」
「お客さん、奥の部屋どうぞ」
店員に案内されたのはステーキが焼かれている小部屋だった。
「一万人に一人」
「…?」
「ここにたどり着くまでの倍率さ、お前達新人にしちゃ上出来だ、それじゃがんばりな、ルーキーさん達、お前らなら来年も案内してやるぜ」
キリコさんが意味深な言葉を残し部屋を残して部屋を出て行けば部屋が地下に落ち始めた。
「エレベーターだったんだ」
「それよりも失礼な奴だぜ、まるで俺達が今年は受からねーみたいじゃねーか」
「…三年に一人」
「ふぇ?」
「ルーキーが合格する確率だそうだ」
「あるものはテストの中で精神がダメになってしまうやつ、ベテランに潰されて二度と試験を受けられなくなってしまうやつ、そんなのがごろごろいるんだって」
「でもさ、なんで皆大変な目にあってまでハンターになりたいのかな?」
「…確かに」
ふっ、と考えてみればなんで自分が苦しんでまでハンターになりたいのかな?まさか皆M…!?
…んなわけないか
あ、レオリオとクラピカがなんか言い合い始めた。どうでもいいか
「…あ、着いた」
チンッとエレベーターのベルが鳴り扉が開く、目の前には町や港であった志望者とは明らかに違う者達が集まっていた。
「それにしてもうす暗い所だな」
「地下道、かな?」
「一体何人くらいいるんだろうね」
ゴンがキョロキョロと周りを見渡していると何とも胡散臭いオッサンが話しかけてきた。
「君たちで405人目だよ」
そのオッサンはトンパというそうだ、何でも10歳から35回も受けているらしい。威張れることじゃないだろうに…
「番号札をどうぞ」
「あ、ありがとう」
なんか豆みたいな人から402と書かれた番号
札を渡してくれた。これが受験番号なのか…
オッサンの話をそっちのけで周りを見渡していると突然人間の悲鳴が地下道内に響き渡った。
「あーら不思議◆腕が消えちゃった◆」
現場にいたのは両腕の切断された男と両目の下に星と雫のマークが入っているイカれた奇術師だった。
「気を付けようね◆人にぶつかったら謝らなくちゃ◆」
イカれてる、そうとしか思えなかった。
腕を切断された男の断末魔が響く中、不意に奇術師と目があった。
「!?」
一瞬でも感じたおぞましい殺気、俺は恐怖しか感じる事が出来なかった。
「ユキ!!」
「え、あぁ、何ゴン?」
いかんいかん、放心状態になってしまった…
「いや、ボーっとしてたから…ヒソカと何かあった?」
「…ううん、何でもないんだ…」
奇術師はヒソカというらしい。俺の中でのブラックリスト決定だ。
ジリリリッ――――…!!
騒がしいチャイムが鳴り響いた。
現れたのは口が無いように見える男性。
「ただ今を持って受付けを終了いたします、ではこれより、ハンター試験を開始致します、こちらへどうぞ」
男性が地下道の方を指差しこちらに来い、と言った。
「さて、一応確認致しますがハンター試験は大変厳しいものもあり運が悪かったり実力が乏しかったりすると怪我したり死んだりします、先ほどの受験生同士の争いで再起不可能になる場合も多々ございます、それでも構わないという方のみついて来て下さい」
男性が歩き出せば受験生全員が引き戻すことなくついて行った。
「…承知しました、第一次試験、404名全員参加ですね」
ついにハンター試験が始まった。
「ん?」
徐々に全体の歩くスピードが速くなっていく。
「前の方が速くなってる!!」
「申し遅れましたが私、一時試験官のサトツと申します、これより皆様を二次試験会場へ案内いたします、一次試験は私についてくること、到着時刻や場所はお答えできません、ただ私について来ていただきます」
「ついていくだけか…」
変なテストだな…と思いながらサトツさんについて行っていれば俺たちの隣を銀色が通り過ぎた。