その手が掴むもの…

□第2話
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「カッツォさん、いい船乗りになりなよ?」

「うん!!ありがとうユキさん」

ここは審査会場最寄りの港、ドーレ港。
船長に気に入られた俺たちは無事に送り届けられたのだった。

「元気でね」

「あぁ!!君もね、いいハンターになりなよ」

「もちっ!」

「じゃあね」と手を振りゴン達のもとに向かえば何やら話し合っていた。

「どうかしたのか?」

「あ、ユキ、あのね、船長があの一本杉を目指せば試験会場に近道だって言ってたんだ」

「だからお前の言ってる一本杉は俺達の目指しているザバン地区とは逆方向なんだよ」

「でも船長が!」

「なら、こんな所で駄弁ってないで行ってみればいいじゃん」

俺が一言言えば三人が驚いた顔をしていた。

「そうだよね!行こうユキ」

「おう!行くか」

「じゃあね」とクラピカとレオリオに手を振ればゴンと一緒に歩き出した。

「あ、クラピカ」

「私も同行しよう」

「本当!?」

ゴンがパァッと花が咲いたように綺麗な笑顔を浮かべた。

「よーし、じゃあ、しゅっぱーつ!」

「…ゴンは子供だな」

子供のようにはしゃぎながら前を行くゴンを見て小さく溜め息を一つ、ふっとクラピカを見ればゴンを鼻で笑っていた。

「どういう風の吹き回しだ?」

「何がだ?」

「惚けんな、ゴンに着いて来るなんてクラピカらしくない」

「会って数日も満たないのに私の性格が理解出来たのか?」

「俺をナメんな、大体の人間の性格位見たら分かる」

「ほお、大したモノだな」

「まぁ、俺は特別だから」

ニコッと笑いかければゴンが「二人とも速くー」と読んでくる。俺達は苦笑いを浮かべるもゴンに向かって走り出した。




その後、一人が寂しくなったレオリオと合流し何やら人が息を潜めながら生活している見た目スラム街の様な地区に出た。

「うすっ気味悪い所だな、人っ子一人見当たらねーぜ」

「でもいっぱい人いるよね?」

「うむ、油断するな」

「かなりの大人数だこと」
レオリオは人の気配に気づかないようだ、いっぱいいるじゃないか、息遣いだの衣ずれの音だの、かくれんぼしたら直ぐに見付かるよ。
まぁ、そんな事を考えていたら周りの住居から人がぞろぞろ出て来た。何でこいつら皆仮面つけてんだ?てかシューシュー言ってる…
「…怖っ」

「私の服を掴むな」

奴らのセンターにばあさんが立った。

「…ドキドキ」

「…ふぇ?」

「ドキドキ二択クイ〜〜〜ズ!!」

「!!?」

「お、おい」

思わずクラピカに抱き着いてしまった。だ、だってあのばあさん、凄い顔で、それはもう鬼か魔女かを思わせる顔であんな事言うんだもん!びっくりするに決まってるじゃないか!!

「お前たち、あの一本杉を目指してんだろ?あそこにはこの町を抜けないと絶対に行けないよ、他からの山道は迷路みたいになっている上に凶暴な魔獣の縄張りだからね、これから一問だけクイズを出題する、考える時間は五秒間だけ、もし間違えから即失格、今年のハンター資格取得はあきらめな」

「成る程…これもハンター試験を受けるための関門って訳ね」

「一か二で答えること、それ以外の曖昧な返事は全て間違いとみなす」

「おい、ちょっと待てよ、この四人で一問ってことか?もしこいつが間違ったら俺まで失格って事だろう!?」

「ありえないね、寧ろ逆の可能性があまりにも高くて泣きたくなるよ」

「まぁまぁ、いがみ合うなって」

全く、この二人には困ったものだ

「おいおい、早くしてくれよ」

後ろから現れたのは別の試験志望者。俺達をつけていたようだ。

「何なら俺が先に答えるぜ」

「…着けて来たくせに、どうせゴンと船長の話でも立ち聞きしたんだろ」

「まぁ、そんなところだ」

威張んなよ、何て心の中で思ったのは秘密であったりする。

「どうするかね」

「譲ろうぜ、問題の傾向も分かるしな」

「賛成」

「それじゃあお先に」

男が回答台に立った。

「それでは問題、お前の母親と恋人が悪党に捕まり一人しか助けられない1母親、2恋人、どちらを助ける?」

「!?」

こんなクイズありかよ!!そんなの軽い気持ちで答えられる訳ないじゃないか!!
だが、男は少し悩んだ後口を開いた。

「…1!!」

「なぜそう思う?」

「そりゃー、母親はこの世にたった一人だぜ、恋人はまた見つけりゃいい」

「…カスが」

男に聞こえないような声ながらも気持ちがそのまま口に出てしまった…いかんいかん
ばあさんは村人と何かを相談すれば奥の道を通ることを許した。

「ふざけんじゃねぇ!!こんなクイズあるかボケェ!!」

レオリオが激怒した。まぁ当たり前だと思う。

「こんな問題人によって答えは違うし「正解」なんていう言葉でくくれるもんでもねー!!ここの審査員も合格者も全部クソの山だぜ!!俺は認めねーぞ、俺は引き返す!!別ルートから行くぜ!!」

あっ…

「なるほど…」

「ふん、もう遅いクイズを辞退するなら即失格とする」

「レオリオ!!」

「何だよ!!まさかこんなふざけたクイズ続けろってのか!?」

引き返そうとしたレオリオをクラピカが止める。どうやらクラピカも気づいたようだ。

「待ちな!これ以上のおしゃべりは許さないよ、ここから余計な発言をしたら即失格とする!!さぁ答えな、1クイズを受ける、2受けない」

「1の受けるで」

「それじゃ問題だ、息子と娘が誘拐された一人しか取り戻せない、1娘、2息子、どちらを取り戻す?」

ばあさんが調子良さげに秒読みを始めるその一方でレオリオが角材を手に持った。これは血祭りかい…?
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