声を届けて

□第3話
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翌日

学校でカズに会うことはなかった。クラスが違うため話を聞くにも聞けない、どんなパーツがいいのかを聞くにもいないのだから聞けないわけですこぶる困っている。

「どこだよ…」

「ユキノ!!」

後ろから声がした振り返れば浮かない顔をしているバンとアミがいた。

「二人とも…」

「カズ…見当たらないの…」

「…まぁ、何とかなるって!私探してくるね」

鞄を持って学校を出てはとりあえずカズの行きそうな場所を当たり始めた。




「いないな…」

スケボーに乗っていろいろと回ってみたけどどこにもカズはいなかった。

「どこだよ全く…」

今日何度目かの溜め息をついた。いつもの河川敷を歩いていれば明らかに怪しい大人三人組が双眼鏡を覗き込んでいた。

「なんだ、あいつら…」

「ふふふ…もうすぐ決着が着くよ…」

決着…?
そいつらが見ている方を見れば向こう岸でカズとバンがバトルをしていた。しかもカズの様子が明らかに違う、いつもの戦い方をしていない。
もし仕組まれているんだとすれば…

「…」

こいつらの仕業だろうな。
もしかしてこいつらバンのアキレスが狙いか…?

「ん?こら、見せもんじゃないよ!!」

三人を見ていれば三人組の中の一人にうっとうしい物を払うようにしっしっ、とやられた。
今はこいつらの相手をするよりバンたちを優先するべきだ、と考えた私は橋を使って向こう岸に向かった。

「え!?い、今の…」

「ん?何だい」

「今の真白ユキノッスよ!!」

「な、何だって!!?」



「何してんだお前ら!!」

「ユキノ!」

バトルの様子を見ればカズの新たなLBXがアキレスに止めを刺そうとしていた。

「アキレーース!!!!」

バンの悲痛な叫びを放った途端、アキレスが光を放ち出した。

「な、なんだ…これ…」

バンのCCMが変形した。画面には『Vモード』と映し出されアキレス本体は金色にカラーチェンジされていた。

「ダメだ…コントロールできない!」

感情も無く只々、目の前の獲物を攻撃し続ける黄金のアキレスはカズのLBXを壊そうとしていた。

「やめろアキレス!!それ以上やったら…」

アキレスはLBXを蹴り飛ばし間髪入れずに馬乗りにし動きを封じれば近くにあったランスで腹を…貫いた

「…」

おそらくこの騒ぎの発端である三人組を睨みつければそそくさととんずらしてしまった。

「おっきろバカズ!!」

スパーンと気絶しているカズの頭を叩けば「いった!!」と予想通り飛び起きた。

「いつまでも寝てんなよ」

「だからって普通その起こしかたはないぞ!!?」

「知るかよそんなことより、お前あのLBXどこで手に入れた?」

「エジプトか?さぁ…トンネルに出てた露店で見つけてそれからの記憶が…」

「…そうか」

顎に手を置き少し考えれば小さく溜め息をついた。

「…カズ」

「な、何だよ」

「無事で良かった」

ゆっくりと笑いかければ立ち上がった。

「じゃあ私帰るね」

「ちょっとユキノ!」

アミに呼ばれたが振り返ることなく歩み出した。

やっぱり良からぬことが起きようとしている…


―――――fin
 

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