声を届けて
□第2話
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翌日も昨日と同じようにキタジマに来ていた。
いつもと変わらないように見える光景だが一つだけ違うところがあった、それは…
「うわぁ、とうとうバンも買ったんだ」
そう、バンが青いコアスケルトンのLBXを持ってきたのだ。
「店長、どこのメーカー?」
「んー…こんなLBXは見たことがないぞ何々、AX-00?」
「え、AX-00!?」
昨晩見たコアスケルトンがなぜかここに有ることに思わず大きな声を上げてしまった。
「ど、どうしたの、ユキノ」
「い、いや、なんでも…」
さすがにハッキングしてその名前を知ったなど言えるはずもなく思わず口ごもってしまったがそんな私に構うことなく話は続いて行った。
こういう流れになるともちろん考えてしまうのが何故、神谷重工の機密情報にあったコアスケルトンがバンの手元に有るのか、ということ。バンによれば昨日、私たちと別れた後に謎の女性に手渡されたらしいのだが、あまりにも危険な代物である。
「ねぇ、店長、俺、どうしたらいんだろう…」
「折角だから貰っちゃえば?」
そんなこんなで問題のAX-00はバンのLBXになった…らしい
「いいな…AX-00…」
AX-00と視線を合わせるようにしゃがみこみジーッと観察する。
青い機体が酷く印象に残った。
「じゃあバン、お前のLBX解禁のお祝いに昨日入荷した例のアーマーフレームをプレゼントしよう」
「え、アキレスのこと!?」
「マジで!?」
「あぁ!」
店長の言葉を聞けば神谷重工など脳の隅からも弾き出し店長に噛み付く勢いで詰め寄った。
「なんで!?狡いよバンだけ!!」
「お、落ち着いて!?」
「これが落ち着いていれるかぁ!?」
「でもあれ、売れちゃったわよ?」
今にもドライバー取り出しそうな勢いだったが沙希さんの鶴の一声で目が覚めた。
「売れたの?あれ?」
「うん今朝…って、これ偽物だ!?」
「はぁ!?」
店長よりも早く沙希さんのもとに行き沙希さんが持っているカードを見れば「LBXプロマイドカード」と書かれた物だった。
「沙希さん…これ偽物ってわかりますよね?
」
「ごめん、朝早くて眠かったからさ」
手をすりあわせながら謝る沙希さんだが呆れすぎて思わず苦笑いこぼれた。
「でもこれって泥棒よね?」
「どんな奴だった?」
「えっと、四人組だったかな?一人は郷田って呼ばれてた」
「郷田?」
「アミ、知ってるの?」
「三年生でうちの学校の番長よ」
私も郷田のことは知っていた。何回か面識があったからだ。でも、まさか盗みを働くような奴だとは思えなかった。
「俺、アキレスを取り戻す!そしたら店長、アキレスを俺にプレゼントしてくれるよね?」
「あぁ、いいだろう」
優しく微笑む店長、店長の言葉を聞き嬉しそうに笑っているバンを余所に私は何とも言えない違和感を感じていた