long dream

□面接、小論文
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11月2日。久しぶりに私はCDショップへ自転車を走らせる。

「しゃっせー」

適当な接客の店員に一枚の紙を渡す。


「あー予約っすね。お待ちくださーい」

少し待った後、その店員がレジに出したものをまじまじと見つめる。



「あーざっしたー」

店を出て胸に抱いた物をカゴに入れ、自宅へ戻った。

家に戻って早速それを手に取る。


「My Destinyか」

大好きな彼らが映るそのCDは、東方神起の日本の3rdシングルだ。

イヤホンを使って聞き終わると、胸がじーんと鳴っているのが分かった。



「やばい、感動しちゃった」


部屋に響く独り言。


初めて聴く彼らのバラードは切なくて、いつもの彼らとは違う。


そっと電源を切って、余韻に浸りながらしばらく宙を見つめていた。



「よし、やるか」


気合を入れて面接の練習を始めた。
頑張っている彼らを想いながら考えれば、どんな質問も堂々と答えられる気がした。


次の日は放課後先生と面接練習をしていたため宿舎に行くのが遅くなってしまった。

19時に宿舎に着くと、部屋に電気がついていた。


「お邪魔しまーす」

そっとリビングに入ると、ゲームで盛り上がる彼らがいた。


「お!あき!」

「遅くなってごめんなさい」

急いで夕飯の仕度をする。


「あきーきょういそがしいですか?」

鍋を火にかけていると後ろから聴こえるジュンスの声。

「ん?ああ、学校が終わるのが遅かったんです」

この時間に来たのは初めてだったからきっと心配してくれているのだろう。

だけどその優しさに答えていいものなのか分からなくて、目を合わせることができない。


しばらく後ろにいたジュンスだが、いつの間にかリビングに戻っていた。

勝手ながらそのことに少し心を痛めていると、いつも通りチャンミン鳥がやってきた。

「にくー」

お肉を餌付けすると、小鳥は巣立っていった。
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