long dream
□アイキャンスピーク
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夕食の片づけが終わり一度リビングへ戻ると、ジェジュン、ユノ、チャンミンがなにやら立ち上がって何かを持ちながらぶつぶつと呟いていた。
「わたしはジェジュンともうします」
ジェジュンの手元を見ると、どうやら自分の名刺を持っているようだ。芸能人でも名刺など使うのだろうか。
「わたしはー、あー、ユンホと、おーおーもいまし、も、も…あー!!」
日本語が分からなくなったユノは突然叫びだし、隣にいたチャンミンがびっくりして耳を塞いでいた。
「ねえみんな何してるんですか?」
私の問いかけに、ジュンスが今度ファンとの名刺交換会があると教えてくれた。
「わたしのデビュCD!」
自分達のデビューシングルがまもなく発売されると言う意味だろう。働き出して1ヶ月ほどになるが、その言葉で彼らが芸能人として毎日がんばっていることを実感する。
「へえ、がんばってね」
と言ってファイト!のポーズをとると、ジェスチャーで感じ取ってくれたジュンスは可愛い口をきゅっとあげた。
ふと、ソファーに視線をやると、ユチョンがうつぶせになって寝ていた。こんなところにいたのか、と少し驚くと、ジュンスがおどおどした様子でユチョンに話しかけた。
ユチョンはジュンスの問いかけに低く「あー」と答えている。しばらく二人のやりとりを見ていると、ジュンスが私の方に顔を向けた。
「あーユチョンがー、あー…えー」
なかなか出てこない言葉と裏腹に、ジュンス必死でジェスチャーをする。
額に手のひらをあてて、ぐったりとするジュンス。
「風邪ひいたの?」
と聞くと意味が分かったのかジュンスは「イエスイエスイエス!…なぜですかー」と言った。
たぶんあなたのせいですよ。と思いながらユチョンに近寄り額に触れてみる。熱はなさそうだけど…
「どこか痛い?つらいですか?」
そう聞いてみてもユチョンは顔を伏せたまま動かなかった。
「Headache? Stomachache?」
万国共通語ならどうだろうかと、昨年のホームステイで培った英語で話しかけてみた。
すると、ユチョンはすこしだけ顔を上げると小さな声で「Stomach」と呟いた。
お腹が痛いということは…私のチゲでしょうか。
小さな罪悪感を抱きつつも、ゆっくりとユチョンの体を横にさせた。ユチョンは灰色のスウェットにくるんだ脚を折り曲げるとお腹を押さえた。
「OK, I'll make you some hot drink」
そう言って私はユチョンのお腹をさすっていた手を離しキッチンへ向かった。