long dream2
□湯けむりの旅
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早朝、宿舎に行くと準備万端な5人が座って待っていた。
リュックの紐を握る手は今か今かと揺れていて、立ち上がるのか立ち上がらないのか、腰を浮かせて様子を見ている彼らが愛しい。
「みなさんお久しぶりですね!」
「あきー!はっぴにゅいやー!」
「あけましてー!あけましてー!」
あっという間に5人に囲まれて、ジェジュンに私のバッグを取られる。
「ぼっくがもつ!」
「いいですよ!自分で持てます!」
「もちゅの!」
自分の斜めがけバッグを後ろにやって、私のバッグを抱きしめる。
「いこう!いこう!」
「かじゃ」
「れつごー!!」
久しぶりに彼らの声に包まれるととってもにぎやかで、とっても安心する。
今日はたけちゃんもいない。最初から最後まで私たち6人の旅。
タクシーで新宿まで向かう途中の車内から彼らのテンションはマックス。
「すみません…」
「いいですよ。楽しそうですね」
タクシーの運転手さんに小声で謝る。後部座席にはユチョンとジュンスが大声で歌って踊っている。やっぱり普通の電車に乗らなくてよかった。
「あんまりはしゃぐと疲れちゃいますよ!」
「はーい!」
いい返事を聞いたけど、歌は止まなかった。
駅に着いて周囲を見渡す。平日の早朝なので騒ぎにはならなそうだ。
わくわくした様子の5人の先頭に立って改札へ向かう。
『おー!電車だ!』
『久しぶりに乗るね!』
切符を買って一人一人に配って、一列で改札を通っていく様子を見送り、最後に自分も改札を通った。
「こっちですよー!」
勝手に違うホームへ降りようとするユノを引き止めて下に行くとばーっと走っていってしまう人数名。
お願い!お手手繋いでいて!と思ってしまう幼稚園児のような5人をなんとか集めて電車を待つ。
「おべんと!」
「おべんとおべんと!」
構内で駅弁を見つけたユチョンとチャンミンが必死で食べたいことをアピール。
皆で駅弁を買って、満足した表情でいると、
「お!でんしゃ!」
ジュンスが指差した先には、ロマンスカー。
そう、今回彼らを箱根に連れて行くのだ。
ゆっくりと開いたドアに駆け込んで、一番後ろで取れた指定席をボックス席にする。
「くーるくーる!」
ジェジュンとユノが席を回してくれて、8つの席を6人でじゃんけんの争奪戦。
奥の窓際をチャンミン、私、隣にジュンス、ユチョン、そして通路を挟んで向こう側がジェジュンとユノ。なんか偏ってるけど、まあいいか。
「しゅぱーちゅ!」
こうして私たちのまさかの箱根旅行が始まるのであった。