long dream2
□ドキドキパンツ
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彼らが名古屋に行ってしまったその日、私はサークルの飲み会に参加した。
同期の皆に会えるのは楽しいけど、私はお酒を飲まないから、お酒に酔った皆の介抱にまわる羽目となった。
「あーきもちわる…」
「吐いちゃいなよ」
「おぅえーーーー」
本当に吐いた友人の背中をさすり、目をつぶる。
何でだろう、あの5人の看病やお世話をしてもいやな気分にならないのに。
お仕事だから?
違う気がする。
吐いてすっきりしたのか友人はすっくと立ち上がって、スキップ状態で去っていった。
早く帰りたいかも。
と思っていると、肩を叩かれた。
「あきちゃん、行こう」
振り返れば周囲の様子をうかがっているじろさんがいて、私の手を取って皆が向かう方とは逆へ向かった。
5人以外の男の人に触れられるなんてほとんどなくて、何故だろう胸が苦しかった。
2、3回角を曲がって、やっと立ち止まる。
「ちょっと遠回りだけど、こっちから帰ろう。」
じろさんは私が帰りたがっていることに気づいていて、皆に内緒で帰そうとしてくれた。
「じろさんは、どうしてそんなに優しいんですか?」
車が行き交う中、私の声はかき消されてしまいそうだった。
だけどじろさんは振り返って、小さな目を細め、白い歯を見せて微笑んだ。
「あきちゃんにだけだよ」
じろさんを見て胸がきゅーってなるのは、私が彼を好きだから?
じろさんと駅まで一緒に行って、彼は改札の前までついてきてくれた。
じろさんは2次会にそっと戻るからと言って手を振ってくれた。
「気をつけて」
いつの日か「チョシメカ」と言って駐輪場まで送り届けてくれたユノを思い出した。
―“お前はユノヒョンが好きなのか?”
なんとなくそういう相談はユチョンが良い気がして、こちらから電話をしたけど、チャンミンにするのとは違って緊張する。
“違います。ただ似てるって説明しただけです”
―“まあユノヒョンは彼女いるからね。好きになってもだめだけど”
と言ってユチョンは笑った。
“あの、ユチョンさん”
自分の気持ちが不安定すぎて声が震える。
―“なに?”
“どうして今の言葉で私はショックを受けたんでしょうか”
―Hey!!
ユチョンの大きな声で我に返る。
―“あき、正気か?ヒョンのこと好きなのか?”
好きではないと思う。
でも誰が好きなのかと聞かれても答えられない。
“どうしようユチョンさん。私浮気女なんでしょうか…”
じろさんにドキっとするのに、ユノを思い出してしまうなんて、浮気だ!最低だ!!
と、人が心配しているのに電話の向こうでユチョンは笑った。
―“あきは純粋すぎるな”
頭の中に?が浮かんだまま、ユチョンに電話を切られてしまった。
え、なんで?