long dream
□2つのおめでとう
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神戸公演は8月27日、1週間後だった。
彼らのステージを見に行くのはファーストライブでという約束をしたので、今回も行く予定はなかった。
「いやー私もまだまだですな!」
帰り道ひとりごとを言う。
確かにユノがこのフェスのことを言っていたのに、完全に聞き逃してジュンスの口についていた米を取ってあげていた。
だけどこれはすごいこと。
そう、お祝いすべきことのはず!
すぐにたけちゃんに電話をして事実確認をした。
−おーよく調べたな。きもい。
「ねえこれってお祝いすべきことだよね!?ね?」
たけちゃんは電話の向こうで笑っている。
−おう、奴らも喜ぶぞ。じゃ、イベントの後のスケジュール送るから夜祝ってやってよ。
その後たけちゃんからメールでスケジュールを教えてもらい、イベント後の最初に宿舎で過ごす日にお祝いをしようと決めた。
帰ってからはもう宿題どころではなく、どんなお祝いをするかひたすら考えていた。
「大きいお肉と、ケーキと、お部屋にデコレーションもしよっと」
宿題とは違ってあっという間に紙一杯になるメモ。
【3日で数学の宿題を終わらせる】
そしてお祝いの日までの、目標もできた。
壁に貼った目標と計画書を見て、やる気がみなぎるのであった。
それから3日間で私は見事数学の宿題を終わらせ、英語の宿題にも少し手をつけた。
翌日余裕の顔で出かける準備をし、彼らの宿舎へ向かった。
彼らはしばらく帰ってこない。今のうちに飾り付けをしようと、文房具屋で買った画用紙やおりがみを切り貼りし、先日書いた短冊のある壁やテーブルをデコレーションした。
その日は満足して家路についた。
そして神戸公演の当日、今頃彼らは歌っているのかと考えながら宿題をやり終えるのであった。
「あきが夏休み最終日より前に宿題を終わらせるなんて…」
と、お母さんが熱を計れというくらい浮かれていたのだ。
そして翌日はニュースになっているかもとテレビにはりついていたが、残念ながら彼らが画面に映ることはなかった。