long dream
□第二印象
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その日はたけちゃんに「休み」と告げられていた。彼らが地方や韓国にいる日などは休みになるのだが、今日は歓迎会だからだという。
どうやら彼らがパーティーの用意をしてくているらしい。たけちゃんに電話をしたら「まあ夕方まで仕事だから期待すんな」と言われた。
夜19時、約束通り宿舎に着き玄関前で深呼吸をした。
鍵は持っているが、今日は招待された側なので、短い人差し指でインターホンを押した。
ピンポーン
と小さく音が鳴ってから少しすると、中から微かに騒ぎ声が聴こえた。
ガチャリ
開いた扉からは、犬のようにかわいく微笑むジュンスがいた。一番知った顔が出てきたことに安堵する。
「こんにちわ!」
「お邪魔します」
ジュンスに促されるまま扉をくぐると、玄関に残りの4人が迎えに来てくれていた。
4人は私を確認するとわーわー言いながらリビングへ駆けていった。反応に戸惑っていると、ジュンスが「こっちこっち!」と言って私の手を引いてリビングへ入っていった。
「「「「いらっしゃいませー!!!」」」」
リビングに入ると、ジュンス以外の4人がダイニングテーブルを囲んで居酒屋のような台詞を叫びながら拍手をしていた。なんだか誕生日会の主役のような気分だ。
「ここ!」
と言ってお誕生日席にジュンスが私を座らせた。
ジュンスは私から見て右列の手前に座り、その隣にチャンミン、左列の奥にユチョン、そしてその隣にユノが座った。
一度座ってニコニコと私の顔を見ていたジュンスが、はっと何かに気がつくと、立ち上がって部屋の隅に駆けていった。
何かを韓国語で言ったかと思うと、ぱちっと電気が消えた。
しばし暗闇に耐えていると、キッチンから火のついた蝋燭を刺したケーキが出てきた。恐らく持っているのはジェジュンだろう。
誰が歌い出したのか、一人が「ハーッピバースデー トゥーユー!」とR&B調に歌いだしたので、残りの皆もバースデーソングを歌いだした。
初めはそれが面白くて笑っていたのだけど、段々彼らが本気で歌うのでその歌の上手さにもっと聞きたいと思ってしまった。
だけどすぐに短いバースデーソングは終わってしまい、蝋燭の炎を消すとリビングの電気がついた。
目の前にあるケーキを見ると、
“あきいつもありがとう”
という感動的なメッセージが描かれていた。
私が笑うと、正面の席についていたジェジュンが
「ありがとごじゃまーーーす!!」
と叫んだ。
初めは外国人の家でハウスキーパーとして働くことが不安で仕方がなかったけど、優しく迎えてくれる彼らでよかったと、心から安心した。