デフォ名注意


「はぁ…」

今日は散々な一日だ。
集合の体育館はみつからないし、弓道場で下手くそな弓見るし。

「君!」
「! それって僕のことです?」
「そ、君だよ もう説明始まってるから早く中に入りなさい」

やけに上から目線の生徒。なんかムカつく。
赤髪に黒縁眼鏡。風船ガム。本当にこの人は生徒会員なのか?

「こら霰。『雷』になるな」
「いてっ ちょっと会長ウィッグ引っ張らないでよ」

紅い髪からこぼれ落ちた茶色の髪。その様子に、目を奪われる。

「わぁーったよ、着替えてくるよ」
「ほらお前。体育館に入れ」
「はーい」

ああ、あの人が気になる。
幸い僕はここに希望の学科がある。
星月学園…視野に入れようか





じいちゃんが先生をしている星月学園に、今日はオープンスクールに来た。
広くて、空気が美味しい。

「《宇宙科の体験授業の奴こっち集合ー!》」

拡張器越しの声が聞こえる。が、姿は見えない。

「ぬ?」
「ここだよ!クソクソ、嫌みか!!」

首を下に下げるとそこにはぎりぎり160cmくらいの赤毛のぱっつん先輩がいた。

「クソクソ、俺の背だってもっと伸びるはずなんだ…!」
「がっくん」
「! おう、霰」
「集合できた?」
「あー、まぁなんとなく」
「手伝わせてごめんね、生徒会に宇宙科いなくて」
「大丈夫だ!」

ぱっつん先輩と同じくらいの身長の女の先輩がやって来てぱっつん先輩に話し掛ける。

「君、ここ志望?」

唐突に話し掛けられてちょっとびっくりした。

「ぬ…、じいちゃんが、ここで働いてるんだ」
「お祖父さんが?」
「うん、じいちゃんの名前は天羽英空だよ」

俺が言うと、二人は『あー』と納得の声を上げた。

「天羽先生の授業面白いんだよなー」
「雰囲気がお祖父さんそっくりだね、天羽君」

にこりと笑った女の先輩はまるで向日葵みたいだった。


気になるあの人






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