□誘う眠気
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「…なんや、めっちゃええ匂いする…」

ふと頭が覚醒してゆっくりと目を開けると、美味そうな匂いが鼻を掠めた。
あ、みそ汁のあったかい匂いや。理想的な起き方やんなぁ
きっと焔が朝メシ作っとんのかなとか思いながら着替えて食堂へ向かう。…なんや、まだ5時やん。

「? あ、星さんだ。オハヨ」

朝メシ作っとったんは、焔やのぉて霰やった。つか、なんやねんその呼び方。

「…『星さん』?」
「『忍足』だとしのびあしとかぶるでしょ?浪速のスピードスターって言ってたから星さんって呼ぶことにしたの」

ニコニコと笑いながらグリルの中の魚をひっくり返す霰。そんな彼女を見てると、「なんでそのチョイスやねん」っつーツッコミが出来なかった。

「? どうかした?」
「いや、なんも」

昨日から自分がおかしいと思う。
なんや霰見とるとなんつーか守りたい、みたいな何とも言い難いもやもやした気分になる。

「おはよ、霰ねぇ」
「あ、焔おはよう コーヒー煎れようか?」
「いい、自分でやるよ」

霰を見ながら考え事をしとったら焔が起きてきよった。…並んで見ると、やっぱ似てんねんなぁ

「ね、星さんは卵焼き甘いのが好き?しょっぱいのが好き?」
「俺は甘いんが好きやな」
「俺と一緒だ」

にこりと微笑まれて、何故か胸が高鳴った。



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