□彼女はどこ?
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いやぁぁぁっ

焔の耳をつんざくような悲痛な叫び。
呆然とする僕らを置いて、焔はどこかへ行ってしまった。

ハッ 焔…っ!!」
「霰待ちぃあんた今半裸!!」
「神戸!」
「畏まりましたお嬢様」

神戸による早着替えですぐさま更衣室を飛び出す。更衣室前にいた男子に足止めされた。

「霰ねぇちゃん何があったん!?」
「ああ、金ちゃん、焔知らない?」
「焔?見てないぞ」

円堂が首を傾げる。他の皆の顔を見ても、知らないみたいだ。

「焔…!」
「待ってください霰さん」
「まずさ、どういう状況か話してよ」

走り出そうとする僕の腕を立向居と木暮が掴む。もがいても取れそうにない。
なら早いこと話して、追いかけなきゃ

「あ、のね、焔 がね、」

なんでか分からないけど、あの娘が辛いのが分かる。
早く、見つけなきゃ、

「! 霰はん、落ち着きぃ」
「し、は ん…」
「過呼吸や。ゆっくり、ゆっくりでええから呼吸し」
「事情はあたしとリカが説明する。とりあえず皆ダイニングに」

師範が背をゆっくりと撫でてくれる。それに合わせるように呼吸をしたら、幾分か落ち着いた。

「飛鷹はん、ワシは水を取って来るさかい 霰はんを頼むで」
「は、はい」

飛鷹が師範に代わって背中を撫でる。そんな彼の首元に顔を埋める。

「!!///」
「と びたか…」
「な、なんスか?//」
「、焔 は?」
「綱海さんと土門さんがいないんで、きっと追いかけたと思うっス//」
「そ か」

にぃにと土門なら、平気だろう。そう思って僕は少しだけ意識を飛ばした。





「焔ーー!!どこだーー!?」
「聞こえとんのやら返事しぃやー!!」

夜目の利かない中で、必死に宿舎の周りを探索する。
しかしこの辺り一体の地理は全くもって分からない。むやみに動き回って遭難するのが関の山だ。

「あ、飛鷹!銀!不知火は?」
「眠ってしまったので、神戸さん?に任せてきました」

円堂の問いに飛鷹はいつものように答える。
本当に、焔はどこに行ってしまったのだろう。

「きど、焔は…?」
「お嬢様、今は部屋でお休みを…」
「ダメ、焔が辛い思いしてんのに寝てらんない。僕も探す」

神戸さんの制止も聞かずに不知火は俺のマントを掴む。少し目が腫れぼったい。泣いていたのか


Where


is


she?


(不知火の零した涙が)

(月明かりに照らされて幻想的で、)

(決して泣こうとしない焔の涙だと思った)

 

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