□眠りに落ちたお姉ちゃん
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…ねぇ、霰ねぇ」
「にゅ…?」
「こんな所で寝てたら風邪引くよ」

ここは広い宿舎のダイニングのソファ。隣にジロちゃん、膝の上には彼のお昼寝用のタオルケット。
どうやら今朝の早起きと練習の疲れがたたって眠っていたらしい。

「ほら、寝るんだったら部屋行って?」
「ぬ〜…、まだ平気」
「なんや霰ちゃんの方が妹ちゃんみたいやねぇ〜」
「あ、小春ちゃん」

隣のジロちゃんを起こさないように立ち上がり、小春ちゃんの隣に行く。

「う〜ん、そうかもしんない。僕焔に頼りっぱなしだし…」
「そんなことないよ!あたしだって霰ねぇ頼りにしてるもん!!」
「焔…」

感極まって焔を抱きしめる。ああ、至福。

「あらあら、仲良しやねぇ アタシもやってほしいわ〜」
「いいよ〜」

焔から離れて小春ちゃんを抱きしめる。うん、焔とは違った抱き心地。
なんか近くで「浮気か小春!!」って聞こえるけど気にしないことにした。
…あ、寝そう。

「霰ねぇここで寝ちゃダメだよ」
「ん〜…、僕やっぱ寝てくる。おやすみ焔、小春ちゃん」
「おやすみ」





重い体を引きずりながら階段を昇る。次の瞬間、踏み外したのか重力に引っ張られた。
ヤバい、落ちる…!

「危ない!」

誰かに抱き留められた。眠いのを耐えながら見上げたら、緑川だった。

「大丈夫か?」
「ごめん、緑川…」
「平気ならいいけど…。部屋まで送るよ」
「ちょっと待ったー!!」

大きな声のした階段下を見ると、花柄模様の帽子をかぶった松野がいた。
可愛い帽子だなぁおい。それがナイトキャップなら入院中もかぶってたのか?

「緑川だからどうせすぐ階段から落ちるでしょ!」

あ、おぶってく前提だったんだ。

「だから、霰は僕が連れてく」
「それならマックスだって同じだろ!」
「僕は鍛えてるから」
「俺だって鍛えてるもん!」
「お二人さん、そこまでにしんしゃい」

ふと頭上から響いた声。頭をあげるとちさとちゃんが穏やかな顔で笑ってた。
ちさとちゃんは階段を降りて僕達がいるところまで来ると、優しく僕の頭を撫でてくれた。

「霰、めちゃくちゃ眠そうたい。ほら、寝るんなら部屋ば行くと」
「ん〜…」

ちさとちゃんは僕をお姫様抱っこすると階段を昇りはじめた。あ、小さな揺れが心地いい。
気付いたら、松野と緑川の声が遠くなって聞こえなくなった。



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