泡沫の夢見にて

□大丈夫って信じてる
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「…」

それにしても、この生徒会はあり得ないくらいに個性豊かだ(うちの生徒会も言えないが)。やっぱりこの不知火さんは生徒会長だったのか。

「!? ヒロト君、雅治、千石…」

玲名ちゃんから聞いては居たけど(メル友)、まさかの登場にびっくりしていると、手刀が炸裂し、霰ねぇと雅治の取っ組み合い。そして霰ねぇのウィッグが取れたかと思えば僕はいつのまにか手を引かれ、走り出していた。

「ゼー…ゼー…」
「霰ねぇ、大丈夫?」
「ちょ、っと…むり…」
「ほら、おぶさって?」
「うん…ごめ…」

ぎゅっと抱きつく霰ねぇを背中におぶって立ち上がり走り出す。

「ねぇ焔!」
「ん?」
「楽しい?聖帝」
「…良い人たちばっかりだよ。」
「焔は頑張りやさんだからねぇ、あんまり根詰めちゃダメだよ?」
「…うん」

霰ねぇには、隠し事は出来ないみたいだ。

「でも、僕は焔のやりたいことを尊重するよ。ゆっくりでいいんだ、あの先輩にでも、ゆーしでも、不本意だけど不動達でも誰にでも良い。頼ることを覚えるんだよ。」
「うん、霰ねぇも無理しないでね?」
「うん、約束だね。」
「約束。」

僕らは笑いあいながら走った。途中で誰かとすれ違った気がするけどまぁ、いいや。

走り着いた先は屋上庭園。こんなに綺麗なとこがあるんだ。

「霰ねぇ、ここ…」
「綺麗っしょ」

ゆっくりと霰ねぇを下ろせば、自信ありげに笑った。

「夜になると満点の星空が広がるんだよ。」
「空気も綺麗だし…最高の環境なんだね、此処」
「うん、楽しいよ。毎日」
「いっぱいいるもんね、生徒。僕らなんか、頭脳順だから隣のクラスはライバルって感じ。まぁ、生徒会長だから、それなりに関わりは持てるけどね。」
「そっかそっか」
「やっと見つけたナリ。」
「…仁王、邪魔すんな」
「雅治…」
「プリッもとよりする気は無いナリ。会長様がお呼びじゃき」
「「あ…」」
「あと、左京サンがうろちょろしてたき、連れてきたナリ」
「お嬢様…!」
「左京!?」
「とりあえず焔は戻らんとアカンじゃろ?」
「あ、うん。またね後でね霰ねぇ!」
「うん!」

僕は霰ねぇと左京を置いて雅治と共に元来た道を戻った。


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