□決戦前夜
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それから雷門の子達がこちらへ合宿と言う名の教育をするためにバスに乗せられ、揺れるがまま睡眠剤で眠らされやって来た。アンリミテッドシャイニングは牙山と共に行ってしまい、シュウは多分森の中で眠っているのだろう。

「…あんな強力な睡眠剤使ったら…」

育ち盛りの子供達にどんな影響があるかなんて分からないじゃないか。そう考えていると捕虜がゴッドエデン本部へと送られてきた。そのメンツは鬼道君、春奈ちゃん、あとはマネージャーの3人。コーチとしている筈の霰ねぇは居なかった。多分隙をついて逃げたのだろう。アタシは人質のみんなを天窓しかない座敷牢に運ばせ、睡眠剤で眠らされた彼女達を優しくベッドに寝かせた。

「…ん、」

ふと誰かが起きた。振り返ると、鬼道君が起き上がっていた。

「良かった、起きたわね」
「…誰だ…!?」

後ろから声をかければ、彼はビクッとして振り返った。

「…久しぶり、鬼道君」
「…焔、お前は何故ここに、イタリアに居たはずじゃ。」
「…色々あって今は帰国中。」
「…お前も捕虜、なわけないな。」
「ええ、アタシはここの管理者の1人。」
「…そうか」
「…しばらくはここに居て貰うわ。」
「…」
「鬼道君。」
「…なんだ。」

アタシは彼に近寄り、耳打ちした。ちょうどここは監視カメラからは死角だから見えることはない。

「…!!」
「…だから、少しだけ待って」
「…ああ。」
「…相当強い睡眠剤を入れたらしいわ、しばらく彼女達は起きないでしょう」
「…そうか。」
「…じゃ、また後で食事を運びに来るわ。」

アタシは立ち上がり、優しく春奈ちゃんの頭を撫でてから、部屋を出た。

「チッ…クソ…」

小さく悪態をつけば、インカムに流れる通信音。内容は不知火霰コーチが逃げたことと、アンリミテッドシャイニングに負けた雷門イレブンをゴッドエデンに連れて行こうとしたら、サッカーボールが飛んできて衝撃波を起こしたかと思えば雷門イレブンのみんなは忽然と消えたらしい。
多分それはあの5人だろう。全く無茶をする。そう思いながらアタシは白竜やシュウ達を迎えに行くために歩き出した。

「ただいま焔姉さん」
「お帰り、シュウ。」
「雷門イレブン、面白そうだったよ」
「そう、良かったわね」
「ただいま、姉さん」
「お帰り白竜。お疲れさま」
「…準備運動にもならなかった。」
「そう、でも体は疲れているはずよ。ゆっくり休みなさい?」
「ああ。負け犬が居たよ」
「京介君?」
「ああ、弱かった」
「そう、ほら、早く着替えてらっしゃい」

それから、1日が過ぎたとき、牙山は島全体に聞こえるように放送をながした。「3日後、雷門と我らが公認チームによりスペシャルマッチを行う」と。アタシはその放送を聞いた瞬間走り出し、牙山のもとに向かった。

「牙山さん!」
「どうした不知火コーチ」
「…ゼロ計画を遂行するのですか。」
「ああ。」
「アレは子供達の未来を奪う!止めるはずじゃ無かったのですか!」
「五月蝿い!」

パシンッと良い音を立ててアタシの頬が叩かれて、その力に負けてアタシはそのまま壁に打ち付けられる。

「ハッ、脆弱な。」
「…アタシの子供達に手を出すな牙山!」
「黙れ!お前はただ命令に従えば良いのだ!」
「ふざけるなっ!」

また叩かれる、そんな気がした刹那、ヘリのようなプロペラ音がしてインカムから聖帝が来たと連絡を受け、アタシは牙山に連れられ彼の元へ行った。


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