Please marry!

□幸せは何時も
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それから1週間は怒濤に過ぎていった。

「…ふぅ」
「ママ?」
「どうしたの?」

2人に絵本を読んでいたら、思わずため息をついていた。2人は心配そうにアタシを見て、左右の手をギュッと握っていた。

「…あ、ごめん、なんでもないわ2人とも」
「おしごと、たいへん?」
「ママいたいいたい?」
「ふふ、2人は良い子ね。大丈夫よありがとう。」

2人を膝に乗せ、揺りかごの様に揺れれば、2人は眠たそうに目を擦った。

2人が眠ろうとした刹那、左京と虎丸君がバタン!と、部屋に入ってきた。

「焔さん!」
「焔お嬢様!」
「…何ですか2人とも、落ち着きなさい。」
「霰さん、霰さんが!」
「陣痛を起こしまして…」
「…分かりました。白竜。」
「はい。」

白竜は2人を抱き上げ、アタシは霰ねぇの元に向かった。

「助産師は?」
「あと数十分に着くようです。」
「わかった。虎丸君、貴方もこっち来て。左京、アンタはタオルにお湯。助産師から頼まれたヤツ用意しなさい。」
「はい!」
「御意に。」

霰ねぇの元に行けば、苦しそうな声を上げている霰ねぇ。アタシはゆっくり起きあがらせ、しがみつかせる。

「ほむら…?」
「焔だよ。ゆっくり息して。大丈夫大丈夫。もうすぐ助産師の人が来るからね、ちょっと耐えてね」
「う、ん」

それから助産師が来て、霰ねぇの初産が始まった。来てくれた助産師は、アタシ達や七海に時也を取り上げてくれた、優しいおばあさんの助産師だった。

結果は母子共に健康。元気な男の子が生まれた。

「…良かった」
「生まれたのか。」
「ああ、修也、いつ着いたの?」
「お前が霰の方に行ったすぐ後だ。」
「そっか、子供達は?」
「生まれるまで待つんだって意気込んでたんだけど、白竜に宥められて、ついさっき寝たところだ。」
「…そう、起きたときが大変ね。今何時?」
「夜中の2時だ」
「ヤバ、寝なきゃ…」
「明日は会合か?」
「…うん。」
「寝よう、久しぶりに一緒に」
「…ん、そうね」

ゆっくりと修也にもたれ掛かると、修也はアタシを抱き上げてくれる。

「わ…」
「また眠っていないだろう?クマ、出来てるぞ。」
「…バレた?もう現役もヤバいかなぁ」
「無理をする。ほら、寝るぞ」
「…うん、」

修也の腕に抱かれながら、次の日の不安にかられながら、眠りに落ちた。


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