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□命のチカラ
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「「「「不知火コーチが2人!?」」」」
髪の長さは違えど、顔は瓜二つなアタシ達を見て京介君以外の全員の現雷門イレブンの子供達が目を見張った。
「…こんにちは、皆さん。アタシはこのゼロのコーチ不知火焔。宜しくね?」
「…焔、さん…」
「京介君、久し振り」
柔らかく微笑めば、京介君も微笑んだ。
「不知火。」
「…はい。では皆さん頑張って下さいね」
霰ねぇを確認してアイコンタクト、そして僕はゼロのベンチに戻った。
そして、試合が始まった。試合の行方は言わずもがな、ゼロの優勢。傷ついて行く雷門イレブン。アタシは今まで彼らに何を教えていたのだろうか、サッカーの楽しさを封じ込めたサッカーを教えていたのだろうか。
「…シュウ、白竜…みんな…」
仕上げに入ると号令をかける白竜。しかし雷門はそう簡単には行かず、ついには同点まで追い付いた。
「選手交代だ!」
「やめてください牙山さん!」
アタシはそれを打ち消すように叫んだ。
「…不知火。なんだ」
「…もうやめてください牙山さん、アノ子達に最後までやらせてあげるのが我らの義務です!」
「五月蝿い!」
ガスッと鳩尾に入る牙山の拳。アタシはそれをモロに受け、膝から崩れ落ちる。
「…!焔!」
「「「「「焔姉さん!?」」」」」
霰ねぇが僕に近寄ろうとして止められ、シュウや白竜達がアタシの元に近寄って来る。
「焔姉さん…!」
シュウがアタシを起こしてくれて、白竜が支えてくれた。
「シュウ、白竜…大丈夫よ…」
「でも…」
「…大丈夫、だから戻りなさい。」
2人を優しく撫でれば、渋々戻ってくれた。
「…アタシを出しなさい、牙山。」
「…フン、よかろう。」
アタシはそのまま歩きだし、ジャケットを脱ぎユニフォームになった。
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