短編

□指切りげんまん
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新臨。

私の中で新羅さんはこうだといいなという妄想。














「また派手にやられたねぇ」
「もうやだ、シズちゃん手加減という物を知らないんだよ、単細胞だから」
「あはは、そうかもね」

臨也がまた大怪我を負って僕のもとを訪ねてきた。

いつもの事だが静雄にやられたらしい。


「じゃあ取り敢えず消毒するから」
「え、やだ消毒いたい」
「我慢して」
「うぅ…」

臨也は消毒が苦手だ、あの染みる感じが嫌らしい。

「じゃあ始めるよ」
「ん、」

臨也の腕を捲り、怪我をしている部分に消毒液を染み込ませたガーゼをあてる。

「…っ」
「我慢して」
「しん、ら」
「……」
「しんら、しんら」

……癖なのかよく解らないけれど、臨也は治療中何かと僕の名前を呼んでくる。

その弱々しい声音は聞いていると心地いい。


臨也とは反対に俺は一言も発しないまま治療を進めた。






「はい、終わったよ」
「…」
「よく頑張ったね」
「ん…」

臨也が猫のようにすり寄せてきた頭を無意識に撫でる。


「……臨也、気を付けてね?」
「え?」
「私は君が心配だ」
「う…、ん」
「何かあったら迷わず僕の所に来ること」
「うん」

他の医者に彼を治療させてたまるものか。

彼みたいな捻くれ者を治療するのは僕みたいな闇医者で充分だから。

だから今日も、俺は臨也の弱い部分を独占するのだろう。


「やくそく」
「え?」
「やくそく、する」

そう言うと臨也が小指を差し出してきた。

……あー。

ほんと勘弁だよねぇ。




「「ゆーびきーりげーんまーん」」




end

新羅さんはセルティを愛しているのに臨也さんにときめいていればいい。

そんで変な独占欲持てばいいよ。

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