短編

□痴話喧嘩ほど鬱陶しいものはない。
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恋人設定佐相

結局はバカップル。














「佐藤くんの解らずや!!」
「相馬の天然馬鹿」


その日、ワグナリアのキッチンは険悪のムードに包まれていた。


「せ…先輩!!佐藤さんに相馬さんどうしたんですか!?」
「私にも解らないの…オーダー取りに来たら二人とも喧嘩してて…」
「困ってる先輩も可愛い!!」
「そんな事いってる場合じゃないよ!!」


話も聞こえていないのだろうキッチンの二人はいまだに睨みあっている。

やけに長く時間を感じるこの空間で先に口を開いたのは相馬さんだった。

「………佐藤くんは一体何なの?いまだに轟さんの事忘れられないんじゃないか!!」
「だからそれはお前の勘違いだって言ってんだろ」
「勘違いな訳あるもんか!!さっきだって轟さんの事見てたし」
「見ただけだろ」
「あんなに見る事ないじゃん!!」
「そんなに見てねぇよ」


「大体佐藤くんはいつもそうだ!!俺が何度言っても名前で呼んでくれないし、フライパンで殴るし、いきなりちゅーしたりしてくるし」

「お前だって名前で呼ばねーし、山田とか抱き着いて来ても抵抗しねーし、常時誘ってるような空気醸し出してんじゃねぇよ!!」


………ん?


「だ…出してないし!!名前だっていきなりは慣れないからだし、山田さんは抵抗しても無駄ってゆーか…そ、それに誘ってなんかないし」

「俺だって名前で呼ぶのは恥ずかしいし、フライパンで殴るのは照れ隠しだし、キスするのは愛情表情だろ、いい歳した大人がちゅーとか言ってんじゃねぇよ可愛いな」


……んん!?
「ちょ…佐藤さん?相馬さん?」


「か、可愛くないし!!話反らさないで!!…………………佐藤くんはかっこいいよ」

「………お前は可愛いんだよ自覚しろ」


「あー…あの…」



「………ほんと、佐藤くんなんて」

「相馬なんて」






「「大好きなんだよ!!」」
「お前ら帰れ」




end

なんだこれ。

お互いに嫉妬するキッチンペアは悶絶可愛い。

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